「景徳鎮の陶磁器を購入したいけれど、どうやって本物か見分ければいいんだろう…」
「景徳鎮の陶磁器を持っているけど、本物かどうかわからない」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、景徳鎮の本物を見分けるには、落款や釉薬の質感、絵付けの精巧さなどいくつかの見るポイントがあります。
この記事では、景徳鎮の本物と偽物を見分ける具体的な方法を解説します。また、なぜ偽物が多く出回っているのか、その理由にも触れています。景徳鎮の魅力を存分に楽しむために、ぜひ最後までお読みください。
景徳鎮とは
景徳鎮(けいとくちん)は、中国江西省東北部にある都市の名前であり、その都市で生産される陶磁器のブランド名でもあります。世界有数の陶磁器の産地として知られ、1000年以上にわたる歴史の中で、独自の技術と素材を用いて、数々の名品を生み出してきました。品質の鍵を握るのが、景徳鎮で産出される「高嶺土(カオリン)」です。
高嶺土は鉄分が少ないため、焼成すると美しい白磁となり、景徳鎮の陶磁器特有の繊細な質感と透明感を生み出します。偽物の景徳鎮では、高嶺土が使用されていない場合が多く、質感や透明感で見分けがつくこともあります。
長い歴史的背景や技術の高さに加え、作品ごとに異なるデザインや特徴を持つため、コレクターに人気があり高価です。
景徳鎮は、かつて昌江の南にあったため昌南窯と呼ばれていました。北宋の景徳年間(1004~1007年)に優れた磁器を産出し「景徳」の銘が入れられたことを機に、景徳鎮窯と改称されました。
景徳鎮の歴史
景徳鎮は、時代ごとに技術革新や様式の変化を遂げながら、陶磁器の有名な産地として発展しました。以下の時代の歴史を知ることで、景徳鎮に対する理解が深まり、本物かどうかを見分けるヒントにもなります。
- 北宋時代(960~1127年)
- 元時代(1279~1368年)
- 明時代(1368~1644年)
- 清時代(1644~1912年)
それぞれの時代の特徴を詳しく見ていきましょう。
1.北宋時代(960~1127年)
北宋時代、陶磁器生産の重要な中心地として頭角を現しました。北宋時代を代表する磁器は、青白磁(影青)です。わずかに青みがかった乳白色の青白磁が持つ滑らかな質感と上品な光沢は、大衆の心をとらえました。
青白磁は、質感や美しさが宝石のように滑らかで光沢があることから「饒玉(美玉)」と称えられました。当時の人々にとって憧れの高級品だったのです。
宮廷でも愛用されたことも、景徳鎮の人気とその後の発展を大きく後押ししました。また、皇帝真宗がその磁器の美しさに魅了され、底部に『景徳年製』と記すよう命じたことが、現在の地名の由来となっています。
2.元時代(1279~1368年)
元時代、景徳鎮では白磁の素地にコバルト顔料で文様を描く青花技法が確立されました。青花技法によって鮮やかで繊細な模様を施すことが可能となり、陶磁器の芸術性が一層向上したのです。
特に大型の器物に文様をびっしりと描いた青花磁器は、その美しさから中近東への輸出品として人気を集めました。また、この技術革新は、後の明清時代の陶磁器生産にも大きな影響を与え、現代の景徳鎮の青花磁器にも、伝統技法として受け継がれています。
3.明時代(1368~1644年)
明時代の景徳鎮は、皇室専用の窯「御器廠(ぎょきしょう)」を設置したことで、新たな発展期を迎えます。陶磁器生産が国家事業になったことで、品質と技術は格段に向上しました。
嘉靖年間(1522〜1566年)には、海外需要の増加に対応するため「磁器官民合同方式」と呼ばれる官窯と民窯の協同生産体制が確立します。これにより高度な技術が民窯にも広まり、景徳鎮全体の技術水準が底上げされました。
生産規模の拡大と技術革新が進み、景徳鎮は世界的な陶磁器産地としての地位を築きあげたでしょう。
4.清時代(1644~1912年)
清時代、景徳鎮は官窯(かんよう)と民窯(みんよう)が共存し、世界的な陶磁器産地として繁栄しました。ヨーロッパへの輸出が盛んに行われ、景徳鎮は一気に有名になります。
官窯では皇帝や宮廷向けの高級磁器が製造され、品質の高さは宮廷内外で高く評価されていました。五彩や粉彩などの華やかな装飾技法が開発され、景徳鎮はより美術作品として価値を高めたのです。
一方、民窯では日常生活で使われるものから輸出向けの製品まで、多様な製品が生産されていました。「官搭民焼」という制度で、官窯は一部の製造を民窯に委託しました。官搭民焼とは、官窯が民窯の施設や技術を利用して製品を焼成させる制度のことです。
生産効率とコスト削減を実現しつつ民窯への技術を継承し、景徳鎮全体の技術力向上に貢献したのです。現在、生産されている景徳鎮の陶磁器にも、この時代の技術と革新が息づいています。
景徳鎮に偽物が多い理由
景徳鎮の陶磁器には、偽物が多く出回っており、その理由は主に以下の2つです。
- 景徳鎮の高い価値
- 一部技法の再現しやすさ
まず、景徳鎮の陶磁器は、長い歴史と芸術性から世界的に高く評価され、高額で取引される事例も存在します。たとえば、2005年にはイギリスのオークションで青花磁器「鬼谷下山」が30億円で落札されています。高い市場価値は、偽造を助長する大きな要因となっています。
特に、元・明・清時代の官窯作品は高額で偽造の対象になりやすい傾向があります。これらの時代の作品は、皇帝や宮廷のために作られた高級品で希少性と芸術的価値が高く、高値で取引されるため偽造の標的になりやすいのです。加えて、青花のように比較的単純な技法であれば、熟練者でなくてもある程度の模倣が可能なことも、偽物が多い理由の一つです。
しかし、いくら模倣できても、本物が持つ、長年継承された職人技や歴史的背景までは再現できません。本物の見分けかたは、次の項で解説しています。
景徳鎮の本物の見分け方
景徳鎮の陶磁器の本物を見分けるには、以下のポイントを総合的に判断する点が重要です。
- 裏印(銘文)を確認する
- 色合いや釉薬の均一性を確認する
- 重さや手触りを確認する
見分け方を理解し、偽物を購入するリスクを少なくしましょう。
1.裏印(銘文)を確認する
景徳鎮の陶磁器が本物か偽物かを見極める際、底部に書かれた「裏印」の確認は欠かせません。真正な景徳鎮の作品には、底の部分に「景徳年製」の文字が記されています。
偽造品の場合、歴史的な字体や筆跡を完全に再現するのが難しいため、線の終わりが不自然だったり、文字の形が歪んでいたりします。
ただし、裏印があるかどうかだけで偽物と判断するのは早計です。リスクを抑えるために、磁気自体の見た目も欠かさずチェックしましょう。
高品質な高嶺土を使用しているため、磁器の表面は滑らかで上質な光沢を放ちます。一方、偽物は質の劣る材料が使われていることが多く、表面のざらつきや不自然な光沢が目立つ場合があります。
2.色合いや釉薬の均一性を確認する
本物の景徳鎮は、青花の発色が自然で、陶磁器全体に均一な色合いが保たれています。釉薬の塗布も均一で、表面に不自然なムラや垂れが見られることはありません。偽造品では青色が濃い部分と薄い部分がまばらで、全体のバランスが崩れている場合が多いです。
また、低品質な釉薬を使用するため光沢が鈍く、部分的に剥がれている場合もあります。陶磁器の色合いや釉薬の状態をチェックすれば、本物かどうかの判断材料になるでしょう。
3.重さや手触りを確認する
本物の景徳鎮と偽物とでは、手に取った時の感触や重さが異なります。注目すべきは均一性です。
本物の景徳鎮は、高純度の高嶺土が使用されており、均整な厚みと緻密で滑らかな表面をしています。本物は器の形状や厚みが均一で重心が安定しているため、不自然な重さや偏りを感じることは少ないでしょう。
一方偽物は純度の低い粗悪な土が使われることが多く、厚みや形状にムラが見られます。手に取ると部分的に重かったり、重心に偏りがあったりと違和感を覚えるでしょう。また、手触りも本物に比べて滑らかさに欠け、表面の質感も劣ります。
実際に手に取って確かめてみることは重要ですが、初心者の方は製品を販売している店舗の信頼性や専門家の意見を参考にするのをおすすめします。
景徳鎮をよい状態で保存する方法
景徳鎮を良好な状態で保つためには、以下の2点に注意し、適切な環境を整える必要があります。
- 直射日光
- 温度や湿度
直射日光は釉薬や絵付け部分の色褪せを引き起こすため、遮光性のある場所での保管が重要です。陶磁器は土でできているため吸水性が高く、湿気の多い環境ではひび割れや欠け、カビの発生を招くリスクがあります。
また、温度や湿度が安定した場所を選び、空気が適度に循環する環境での保管が劣化を防げます。大切な景徳鎮を長く美しく保つために、収納場所の環境を整えることからはじめてみましょう。
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この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。