「中国掛軸って特徴があるの?」
「高価買取される作家や作品はどれくらいあるの?」
この記事では上記のような悩みや疑問をお持ちの方に向けて、中国掛軸で高価買取される作家や作品をまとめて解説します。
記事の主な内容
- 中国掛軸が評判な理由と特徴
- 中国掛軸が高額で買い取ってもらえる理由
- 中国掛軸を高額で買い取ってもらうための方法
この記事を読むことで、中国掛軸の希少性や、中古市場での価値を理解できます。お手元にある中国掛軸の売却を検討している方、できる限り高く売りたい方はぜひ最後までチェックしてください。
中国の掛軸にはどのような特徴がある?
中国掛軸は日本の掛軸と比べて、題材の多様性、色彩の豊かさ、サイズの大きさに特徴があります。中国掛軸は詩・書・画・印が一体となった総合芸術品であり、文人の哲学的思想を通して表現する文化的背景を持っています。
本章では、以下にまとめた中国掛軸の特徴を1つずつ解説します。
- 色彩と筆致の美しさ
- 詩書画一体の美学
- 象徴的なモチーフの使用
- 伝統的な構図とバランス
- 歴史的背景と文化的意義
上記の特徴を理解すると、なぜ中国掛軸に価値があるのか理解できます。まずは手元の中国掛軸の価値を判断するために、特徴を適切に把握していくことから始めてみましょう。
1.色彩と筆致の美しさ
日本の掛軸は控えめな色調と、余白の美が特徴的です。一方で、中国掛軸は色彩の対比や明暗の変化を積極的に取り入れ、より力強く表現する作風が好まれてきました。特に明朝時代以降の作品では、色彩の豊かさが一層際立っています。
色彩と筆致の特徴は以下にまとめました。
色彩と筆致の特徴
特徴 |
詳細 |
力強い筆運び |
線の強弱や速度の変化によって生命力を表現。水墨画では、筆の運びの強さや速さが作品の価値を決める重要な要素となる。 |
鮮やかな墨の濃淡 |
破墨法(はぼくほう)と呼ばれる技法で、墨の濃淡を巧みに使い分け、奥行きや質感を表現。単色でありながら、豊かな階調を生み出す。 |
没骨法による臨場感 |
没骨法(もっこつほう)は、輪郭線を描かずに色彩のみで形を表現する技術。繊細かつ生命感あふれる表現が可能で、花鳥画で多用される技法。 |
墨の濃淡から筆運び、高度な技法の活用により、色彩と筆致の美しさが実現するのです。本物の中国掛軸では、墨や絵の具の使い方にも確かな違いが確認できます。模造品では、筆致の自然さや力強さを再現するのが難しいため、注意深く観察しましょう。
2.詩書画一体の美学
中国掛軸の2つ目の特徴は詩書画一体の美学にあります。詩書画一体とは、詩文・書・印章(落款)が一つの作品に融合し、総合芸術として仕上がることです。別名を詩書画三絶(ししょがさんぜつ)といいます。
詩書画一体の美学は、唐代から宋代にかけて発展した中国文人画の理念に基づいています。文人画家とは高い教養を持つ知識人のことで、絵画技術だけでなく詩文の創作や書道の技術も兼ね備えていました。
中国掛軸が持つ詩・書・画・印の特徴を以下にまとめました。
詩書画一体の美学の特徴
特徴 |
詳細 |
詩 |
掛軸の余白に添えられた詩文は、単なる説明ではなく作品の世界観を広げる役割を持つ。 |
書 |
詩文を記す書体や筆遣いが芸術表現の一つ。 |
画 |
絵画部分は主題を視覚的に表現する。 |
印 |
作者の名前や雅号を刻んだ印章(落款)も芸術的要素として作品に記載される。 |
詩(文学性)・書(書道芸術)・画(絵画表現)・印(印章芸術)の活用によって、詩書画一体の美学は完成します。中国掛軸の魅力を見抜くために、重要なポイントになるので把握しておきましょう。
3.象徴的なモチーフの使用
中国掛軸は、象徴的なモチーフを使って深い世界観を表現しています。こうしたモチーフは中国の文化的・歴史的文脈に根ざしており、掛軸からメッセージ性や季節感、願いを伝える役割を果たしています。
象徴的なモチーフの例は、以下のとおりです。
象徴的なモチーフの種類
モチーフ |
詳細 |
松竹梅 |
松は長寿と不屈の精神、竹は高潔さと柔軟性、梅は高潔と忍耐を象徴。 |
四君子 |
梅・蘭・竹・菊の四つの植物を指し、高潔な人間性を表す。 |
龍と鳳凰 |
龍は皇帝の象徴であり、権力と幸運を表す。鳳凰は皇后を象徴し、調和と繁栄を意味する。 |
モチーフは単独ではなく、組み合わされて複合的なメッセージを伝えます。中国掛軸の象徴的モチーフは、単に伝統的な意味を伝えるだけでなく、時代や作家によって新たな解釈が加えられ進化してきました。象徴性の理解が、掛軸を見抜くためのポイントになります。
4.伝統的な構図とバランス
中国掛軸の3つ目の特徴は、自然な調和を実現した伝統的な構図とバランスにあります。空間の使い方にも哲学的な意味が込められており、掛軸の作成時には陰陽のバランスや余白の活用が重視されています。
伝統的な構図とバランスは、以下のような特徴にまとめられます。
構図の技法の特徴
技法 |
詳細 |
三分法 |
画面を横3分割または縦3分割して物体を描く技法。主要な対象を分割線上に配置したり、各セクションに物体を交点に配置したりして、視覚的な安定感と動きのバランスを生み出す。 |
S字構成 |
主に山水画に見られる構図で、視線を自然に掛軸内へ誘導し、奥行きと動きを表現する技法。 |
掛軸の上部から下部へと視線を移動させて、主要な対象の配置と余白のバランスを観察してみると、構図やバランスの感覚をつかめるでしょう。
伝統的な中国掛軸では、八分画面(画面の8割)に主題を描き、二分(2割)を余白として残す「八分満二分虚」の原則が適用されているのも、際立った特徴です。
5.歴史的背景と文化的意義
中国掛軸は実用品として発展しながら、次第に文人の教養と精神性を表現する芸術的媒体へと変化しました。中国掛軸の発展は唐代に仏教美術として始まり、宋代(960-1279年)に文人画の発展とともに洗練され、時代とともに進化してきました。
そのなかで継承されてきた、歴史的背景は以下の2つです。
歴史的背景の特徴
特徴 |
詳細 |
教養と審美眼の象徴 |
質の高い掛軸を所有し鑑賞するのが、教養と審美眼の高さを示すステータスとなっていた。 |
哲学思想の視覚化 |
道教や禅宗の思想を視覚的に表現する媒体として発展し、「余白の美」の概念が凝縮。 |
中国掛軸には、上記のような歴史的背景があるだけでなく、文化的な意義も認められています。文化的に重要な価値が認められているからこそ、中国掛軸は高い価格で取引されることがあるのでしょう。
文化的意義の特徴
- 士大夫文化の表現:士大夫といわれる、知識人の価値観を表現し、装飾品を超えた知的・精神的意味を持つ。
- 季節感と生活様式の反映:中国では掛軸を季節や行事に合わせてかけ替える文化があった。
実用品として生まれた中国掛軸の歴史的背景と、芸術的文化へと発展した文化的意義への理解は、中国掛軸を楽しむためのポイントとなります。掛軸の持つ意味を本質的に理解して、作品を見抜くために役立ててください。
中国掛軸の種類
中国掛軸にはさまざまな種類があり、異なる特徴と芸術的価値を持っています。日本の掛軸と比較するとより多彩な表現技法や題材が用いられ、中国文化特有の美意識が反映されているのが特徴です。
一般的に有名な中国掛軸の種類は以下の5つです。
- 水墨画
- 山水画
- 花鳥画
- 文人画
- 院体画
上記の特徴を理解すると、掛軸が偽物かどうか見分ける目を養えます。描かれ方の特徴と見分け方を詳しく解説していくので、気になる方はぜひ最後までチェックしてください。
1.水墨画
水墨画は中国掛軸の代表的な技術で、唐代(618-907年)から発展し始め、宋代(960-1279年)に発展しました。墨の濃淡のみで自然の姿や精神性を表現し、単色の墨だけで奥行きや質感、空気感までも表現する点が、中国水墨画の魅力です。
水墨画の技法には以下のような特徴があります。
水墨画の技法
- 破墨法:墨の濃淡を巧みに使い分けて、立体感や奥行きを表現する。
- 没骨法:輪郭線を描かずに、墨の濃淡だけで対象の形を表現する。
- 皴法:山や岩の質感を表現するための技法で、「斧劈皴(ふへきしゅん)」「披麻皴(ひましゅん)」などの技法が存在する。
墨の濃淡による空間表現と、筆の勢いから感じられる気韻(生命力)が水墨画の特徴です。良質な水墨画は、単色でありながら見る者に色彩豊かな印象を与え、静寂の中に動きを感じさせる不思議な魅力を持っています。
2.山水画
山水画は、自然風景を通じて宇宙の本質や人間の内面を表現する芸術です。中国の山水画は実際の景色を精巧に描くことよりも、自然観の追求を重視しています。
なかでも、主観と客観が融合した意境(いきょう)の概念を重視していて、単なる風景の描写ではなく、画家の精神性や哲学的な世界観が作品に込められています。
山水画の特徴は以下の3つです。
山水画の特徴
- 構図:垂直方向に高く、遠近感を三段階で表現する「三遠法」で表現。
- 筆法と墨:渇筆(かっぴつ)」や、破墨法(はばくほう)で奥行きを表現。(※)
- 題材とモチーフ:絵に描く物体を通じて連想される概念を表現。例えば山は不動の強さや永遠性、水は生命の循環や流動性を表す。
特に北宋の范寛や郭熙、南宋の馬遠や夏珪などは、中国掛軸の山水画として評判の画家です。
(※)
- 破墨法:墨の濃淡を巧みに使い分けて、立体感や奥行きを表現する。
- 渇筆:筆の墨を少なくし、筆先に空気が入ることで生じる掠れを活かして表現する。
3.花鳥画
花鳥画は中国掛軸の中でも親しみやすく評判の高いジャンルで、花や鳥、虫や魚などの自然界の生き物を繊細かつ色鮮やかに描いた掛軸です。単なる自然の写実ではなく、季節感や象徴性を重視した精神性の高い芸術表現となっています。
中国の花鳥画は、宋代(10-13世紀)に洗練された形に発展し、特に北宋の徽宗皇帝が設立した画院では精緻な写実表現が追求されました。明清時代(14-20世紀)になると、より個性的で表現主義的な作風も登場し、現代に至るまで多くの様式が継承されています。
代表的な様式は以下の3つです。
花鳥画の様式
- 院体画:徽宗皇帝の画院(がいん)で制作された作品。
- 徐氏体:没骨法を活かし、薄く上品な色彩を加える洗練された作品。
- 没骨法:輪郭を描かずに絵を描いた作品。
以上の様式で、時代ごとに描かれてきた花鳥画は親しみやすさが特徴の掛軸でした。有名な作家は辺寿民や、現代だと唐雲が有名です。
4.文人画
文人画は、中国掛軸の中でも特に精神性と個性を重視した画法です。学識ある文人が、余暇に描いた絵画で、専門の画家が描いた技巧的な掛軸とは一線を画す素朴さが特徴となっています。
文人画は、中国の北宋時代(11-12世紀)に始まり、元代(13-14世紀)に蘇軾(そしょく)や文徴明(ぶんちょうめい)らによって描かれました。明清時代(14-20世紀)には八大山人や石濤(せきとう)が登場し、文人画の黄金期を築きました。
5.院体画
院体画は、中国掛軸の中でも格式が高く、技術的に洗練されています。院体画は、徽宗皇帝の画院(がいん)で制作されたことから始まり、訓練を受けた画家による見たままの姿を描く写実的な描かれ方が特徴です。
徽宗皇帝の時代に最盛期を迎え、南宋、元、明、清と各時代にも継承されました。王朝の交代ごとに様式も変化しましたが、常に高い技術と芸術性を保持してきました。
中国掛軸の有名作者
中国掛軸は、有名な作者の作品が特に高い価値を持ちます。特に近現代の5人の巨匠は、独自の技法で国際的にも評価され、市場でも評判です。
この章では、5人の巨匠を紹介していきます。
- 張大千(ちょうたいせん / Zhang Daqian)
- 呉昌碩(ごしょうせき / Wu Changshuo)
- 徐悲鴻(じょひこう / Xu Beihong)
- 八大山人(はちだいさんじん / Bada Shanren)
- 齊白石(さいはくせき / Qi Baishi)
作者を知ることで、掛軸の価値を知るきっかけになります。気になる方は、ぜひチェックして参考にしてください。
1.張大千(ちょうたいせん / Zhang Daqian)
張大千は、1899年に四川省で生まれた中国を代表する芸術家です。彼は伝統的な中国絵画の技法を習得しつつ、海外での学びも取り入れて彼自身の芸術を昇華させました。「ポーツァイ」と呼ばれる独自の色彩技法は、他の作品を模倣しながら磨き上げた独自の技術を生み出し、その技術の高さで世界的に有名です。
その証拠に、彼の代表作の1つになる「王希孟の模写『千里江山図』」が4700万ドル(当時の金額で64億円)で取引されています。「東洋のピカソ」とも称された彼の色彩表現は、中国絵画に革新をもたらしたことを証明しました。
張大千の基本情報
- 略歴:1899年四川省に生まれ、中国絵画の技法を極めながら海外で学ぶ
- 得意な表現方法:「ポーツァイ」といわれる色彩を振り分ける漠然とした技法
- 作品の評価ポイント:他者の作品を模倣して昇華した点
- 代表作品:「王希孟の模写『千里江山図』」4700万ドル(当時の金額で64億円)
- 評価される理由:色彩で中国の絵画に変革を与えた点
2.呉昌碩(ごしょうせき / Wu Changshuo)
呉昌碩は1844年から1927年にかけて活躍した芸術家で、見たままを描く写実性と、外面をきれいに飾る装飾性を融合させた独自の描き方を確立しました。題材は主に梅や蘭、ブドウなどの自然物です。
左右の文字バランスを変化させたり、線に動きを与える描き方で観る人を魅了してきました。詩・書・画・篆刻のすべてで才能を示したことにより、「四絶」とも称されています。代表作は、「梅花図」や「牡丹水仙図」などが有名です。国際的にも高く評価される呉昌碩の掛軸は、東洋美術愛好家にとって珍重すべきコレクション対象になっています。
呉昌碩の基本情報
- 略歴:1844年から1927年まで活動
- 得意な表現方法:見たままを描く写実性と外面をきれいに飾る装飾性で表現
- 作品の評価ポイント:文字のバランスを左右で変えたり、線に動作を加える工夫
- 代表作品:梅花図
- 評価されるポイント:「四絶」と称され詩・書・画・篆刻で才能を発揮
3.徐悲鴻(じょひこう / Xu Beihong)
徐悲鴻は、1894年に江蘇省で誕生した芸術家で、1953年まで活躍しました。西洋絵画の遠近法や構図を中国画に取り入れたことで有名で、見たままを描く、写実的表現も取り入れました。代表作の「奔馬図」では、本物の馬が走っているような躍動感ある掛軸が描かれています。
また徐悲鴻は、中国美術の「国絵」の基礎を確立したことでも評価されています。海外にまで学びを求めた熱心な姿勢が実を結び、彼の掛軸は国際市場でも評価のある作品となりました。
徐悲鴻自身の美学は、東洋と西洋の芸術観を橋渡しする重要な役割も果たしました。徐悲鴻の掛軸は、西洋と東洋の技法を融合させた表現が評価されています。
徐悲鴻の基本情報
- 略歴:1894年江蘇省に出生し1953年まで活動
- 得意な表現方法:遠近法と西洋絵画の構図を組み込んだ表現方法
- 作品の評価ポイント:西洋の描き方によくある、見たままを描く技法
- 代表作品:奔馬図
- 評価される理由:中国で「国絵」の根本を築いた点
海を渡ってでも学びを追求した勤勉さの結果、国際市場で高い評価を数多く作り上げました。
4.八大山人(はちだいさんじん / Bada Shanren)
八大山人は17世紀を代表する中国の水墨画家で、明王朝の血筋を引く人物でした。本名を朱耷(しゅとう)といい、明朝滅亡後は僧侶になりました。後に訳あって還俗をして、八大山人と名乗りはじめます。
彼の掛軸は、わずかな線で対象の本質をとらえ、深い精神性を表現した点に魅力がありました。「流暢秀健」を有する彼の書法は、後世にも影響を与えたほどの実力があり、代表作は「魚藻図」や「傳綮写生册」が有名です。作品は希少価値が高く、世界中のコレクターに珍重されている中国古典絵画の名品です。
八大山人の基本情報
- 略歴:明の王族出身で、滅亡後は僧侶となり還俗して八大山人として活動
- 得意は表現方法:数本の線で描く対象の本質をとらえる表現方法
- 作品の評価ポイント:少ない線で本質をとらえ、神秘的な美へと昇華させた点
- 代表作品:魚藻図と傳綮写生册
- 評価されるポイント:「流暢秀健」を有する彼の書法は、後世にも影響を与えた点
5.齊白石(さいはくせき / Qi Baishi)
1864年に生まれた齊白石は、最初から芸術の道に進んだわけではありませんでした。指物師をしていた29歳の頃、胡沁園(こしんえん)に絵の才能を認められ絵画を学び始めた稀有な経歴を持つ人物です。
彼の作品は大胆な構図と、見たままを描く写実的表現が特徴です。墨と色彩の使い方が魅力的な芸術家としても知られています。代表作は「蝦蟇図」「草蟹図」などがあり、1953年には政府より「人民芸術家」として表彰されました。
表彰の影響もあり、中国を代表する画家として広く知られることとなりました。彼の独自の芸術性から、現在も多くのコレクターを魅了し続けています。
齊白石の基本情報
- 略歴:専業画家になるまでは指物師として働いた経歴を持つ
- 得意な表現方法:大胆で率直な構図と写実的な見たままを描く技法
- 作品の評価ポイント:画面構成、墨と色彩の使い方、文字の細部への配慮
- 代表作品:蝦蟇図と草蟹図
- 評価されるポイント:1953年に「人民芸術家」として表彰され認知度が上がった点
高価買取される中国掛軸の有名作品
中国掛軸は、有名な芸術家の作品が市場で高評価を受けています。評価を受けている作品は、芸術性の高さだけでなく歴史的価値や希少性から、驚くべき価格で取引されることもあります。なかでも以下の4つの作品は高く評価されており、価値が高いことで有名な作品です
- 張大千「江山秋色図」
- 呉昌碩「梅花図」
- 八大山人「魚藻図」
- 齊白石「蝦蟇図」
作品の特徴を理解できると、適正な売値かどうかの判断ができます。お手元にある掛軸の価値を適切に判断したい方は、ぜひ最後までチェックしてください。
1.張大千「江山秋色図」
張大千の「江山秋色図」は、1947年に描かれた作品で、代表的な中国掛軸のひとつです。山岳と渓谷の雄大な風景を鮮やかな色彩で表現しており、青や緑の山々が霧に包まれた幻想的な景観が特徴の作品です。150,000円以上で売却されたこともあり、価値の高さが窺えます。
「江山秋色図」が評価される理由は、中国古来の山水画技法をモダンな形に昇華させた表現力です。青緑山水画の技法を基盤にしながら、張大千の筆使いと色彩感覚で描かれた自然は、立体感を表現します。特に霧や雲の表現には、にじみの技法を取り入れ、幻想的な世界観を醸し出しています。
2.呉昌碩「梅花図」
呉昌碩の「梅花図」は、白い梅の花と黒い枝が鮮やかなコントラストを生み出し、力強い筆致と繊細な花の表現が調和した作品として知られています。2025年3月現在、10,000円前後で取引されています。
「梅花図」が評価される理由は、中国画の技法に加え、篆刻(てんこく)の経験から培われた力強い線描です。梅の枝は太く強靭で描かれており、花びらは繊細かつ清楚な美しさを表現しています。
こうした対比が作品に深みを与えています。1915年以降に制作された晩年の作品は、呉昌碩の芸術が完成期を迎えていたため、より評価を受ける傾向にあるでしょう。
3.徐悲鴻「奔馬図」
徐悲鴻の「奔馬図」は、疾走する馬の躍動感あふれる姿を墨と淡彩で表現しており、力強い筆致と西洋画法を融合させた作品です。生涯にわたって何度も馬をテーマにした作品を描いているため、切手や単体で描かれている掛軸など複数のバリエーションが存在します。
売却値は、掛軸だと10,000円〜30,000円、切手は4,000円〜50,000円ほどの相場です。切手の振り幅の理由は、バラで売るか、10枚セットで売るかで変わります。
「奔馬図」が価値を持つ理由は、徐悲鴻が西洋で学んだ知識と伝統的な中国水墨画の技法を融合させ、馬の筋肉の動きや躍動感を的確にとらえているためです。特に馬のダイナミックな動きと力強さが墨の濃淡によって表現された完成度の高さが、コレクターや専門家から評価を受けています。
4.八大山人「魚藻図」
八大山人の「魚藻図」は、水中の魚と水草の様子をシンプルな筆致で描きながら、深い精神性と奥行きを感じさせる作品です。明王朝滅亡後の、八大仙人の苦悩や孤独感が「魚藻図」にも反映されています。
明の皇族であった八大山人(本名:朱耷)の、苦悩の日々の末生まれた「魚藻図」は彼自身の孤独との葛藤が描かれています。作品もバリエーションがあり、複数作品があることで有名です。
現在の売却値は、描かれた絵によって10,000円〜30,000円ほどの価値です。
「魚藻図」も複数のバリエーションが存在し、八大山人は生涯で何度も魚をテーマにした作品を描いています。彼の作品は、墨の濃淡や線の強弱、特に魚の目の表現に現れる独特の風刺性や抵抗の精神が特徴的に表現されています。シンプルな中に深みがある作品の一つです。
4.齊白石「蝦蟇図」
齊白石の「蝦蟇図」は、カエル(蝦蟇)をシンプルに力強く描いた作品です。カエルの姿をみたまま描かれていながらも、墨の濃淡と独特の筆致によって生命力が躍動的に表現されています。現在では、売却先を探しても取引事例が見つからないほどに希少な作品です。
特に水墨のにじみや筆の勢いを活かした技法は、シンプルでありながら深い芸術性を持ち、長年の修練なしには真似できない技術が、評価されているポイントです。齊白石の「蝦蟇図」は市場でも希少な作品なため、価値を正しく判断してもらうためにも複数のお店で査定を受けることをおすすめします。
中国掛軸を高く売るには付属品もセットで売る
中国掛軸を高額で売却するためには、付属品一式をセットで売ることが大切になります。付属品があることで、掛軸が本物と判断されやすくなるためです。買取価格に特に影響する付属品は、以下をチェックしてください。
- 共箱:掛軸を保存するための作者が署名した箱
- 布や袋:掛軸を包んでいる袋や布
- 鑑題箱(識箱・極箱)… 作者以外の人が画題や作者名を書いた箱
- 鑑定書(手元にある場合):掛軸の買取先が発行した、掛軸の価値を証明する文書
上記の付属品を紛失すると価値のある作品でも、本物かどうか分からず低く評価されてしまうリスクがあります。お手元にある付属品は、大切に保管して可能な範囲で付属品を揃えて売却時に提出しましょう。
中国掛軸を高く売るならまねきやがおすすめ
今回は、中国掛軸の特徴や高価買取される評判の作家と作品を、以下の内容も踏まえて解説しました。
記事の要点
- 中国掛軸は他の芸術品にはない美しさがあるからこそ、高い価値が認められている
- 中国掛軸は、複数の技法の組み合わせから生まれる独特の世界観が大きな魅力
- 有名作者が作り上げた中国掛軸は高く評価されており、今でも高値で取引される
中国掛軸は、世界的に評価の高い芸術の1つです。なかでも評価のある作家が作った作品は、市場で高価買取されることもあります。掛軸の状態が良好で、付属品なども充実していればさらに価値が上がるでしょう。
ただし買取店の選定を誤ると、適正価格で売却できず後悔する羽目になります。中国掛軸を適正な価格で売却したい方は、ぜひまねきやに査定を依頼してみてください。
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この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。