「レコードが歪んでしまった。直す方法はある?」
「なぜレコードが歪んでしまうのだろう?」
このように悩んでいる方に向けて、この記事ではレコードが歪む原因や歪んだレコードの修復方法を具体的に解説します。
レコードは歪むと正常な音が流れなくなる可能性が高いです。そのため、適切な方法で保管してレコードを正常な状態に保つことが、不可欠なのです。
ただ、歪んでしまった場合でも、適切な方法で対処すれば修復は可能です。
手持ちのレコードが歪んでしまった場合はこの記事をチェックして、レコードを修復する方法や同じ失敗を繰り返さないための知識を理解しましょう。
レコードが歪むと音が悪くなる?
レコードが物理的に歪むと適切にレコードが再生されなくなるため、音質が悪くなります。
歪みの種類や程度によって症状は異なりますが、一般的には以下のような問題が発生します。
- 音飛び
- 音割れ
- 不自然な音の揺れ
- 特定の周波数帯の音質劣化
など
アナログレコード特有の温かみのある音質も、物理的な歪みによって損なわれてしまうことが多いです。
このような音質の劣化が起こる理由は、レコードの溝と針(カートリッジ)の関係性にあります。
理想的な状態では、針がレコードの溝に沿って正確に動くことで音を再現します。しかし、レコードが歪んでいると針が溝から外れたり、不適切な角度で接触したりするため、正確な振動が伝わらなくなるのです。
特に繊細な高音部分や複雑な音楽パートでは、歪みによる音質への影響がより顕著に現れます。だからこそ、レコードの歪みは音質の低下に直接影響を及ぼすのです。
またレコードが歪んでいると針に通常とは異なる負担がかかるため、針の摩耗も早くなります。レコードの歪みは音質だけでなく、レコードプレーヤーの劣化にも直接影響を及ぼすのです。
レコードの歪みの原因とは?
レコードの歪みはおもに3つの環境要因によって引き起こされます。ここからはレコードが歪む原因のうち、よくある3つの要因に絞って詳細に解説します。
- 高温や直射日光による変形
- 圧力によるたわみ
- 湿気による波打ち
レコードが歪むおもな原因を理解して、うまくレコードの歪みを避けられるようにしておきましょう。該当する環境でレコードを保管している場合は、レコードに優しい環境での保管に切り替えることをおすすめします。
1.高温や直射日光による変形
レコードはポリ塩化ビニル(PVC)という柔軟性のある素材でできているため、環境の変化に敏感に反応します。そのためレコードは高温環境や直射日光に長時間さらされると、ビニール素材が軟化して変形するのです。
ビニールの耐熱温度は60〜80℃程度ですが、実は30℃程度の温度でも徐々に柔らかくなり始めます。その状態で力がかかると歪みが生じることは、容易に理解できるでしょう。
特に直射日光の当たる場所や外気の影響を受けやすい窓際では、室温が25℃でも、レコード自体の温度は40〜50℃まで上昇する場合があります。
レコードを保管する際は直射日光が当たる場所を避け、高温になりづらい環境での保管を徹底しましょう。
2.圧力によるたわみ
熱が加わった状態で圧力がかかると変形しやすいことは、先に述べた通りです。ただ、ポリ塩化ビニルで作られたレコードは温度が低くても変形する場合があり、圧力がかかると歪みやたわみが発生する場合があります。
特に不適切な収納方法による継続的かつ過度な圧力がレコードに加わることで、たわみや歪みなどの物理的歪みが発生します。一度このような歪みが生じると、レコード再生時に針が正確に溝をたどれなくなり、音飛びやノイズが発生するのです。
圧力による歪みを防ぐために、保管時には以下を徹底しましょう。
- 専用のラックやケースに垂直に立てて保管する。水平に積み重ねることは避ける
- レコードは互いに密着させすぎず、軽く指が入る程度の余裕を持たせて保管する
- レコード専用のサポーターやブックエンドを使って、レコードが斜めに傾かないよう支える
不適切な圧力はレコードの形状を徐々に変えていくため、気付いたときには大きな歪みや撓みになっていることもあります。日常的な一工夫を意識して、圧力による歪みから大切なレコードを守りましょう。
3.湿気による波打ち
高温だけでなく、高湿度の環境もレコードに波打ち状の歪みを引き起こす原因になります。
ポリ塩化ビニルには微量ながら吸湿性があり、湿度の高い環境では水分を吸収して膨張します。水分を含んだポリ塩化ビニルは通常時より変形しやすく、波打つように変形するリスクが高まるのです。
また、湿度の高い環境ではカビも発生しやすくなります。レコードにカビが生えることで音質が低下し、変形とも相まって音楽の再生に大きな影響を与えるのです。
レコードを保管する際は水分や湿気を避けて保管しましょう。特に結露が発生する窓際や、洗濯物周辺にレコードを保管するのは避けるべきです。
保管の際は乾燥剤やシリカゲルなどを適宜挟み込んだり、除湿剤を近くにおくなどの工夫でレコードを正常な状態で保管できます。
レコードの歪みを治す方法
ここまでレコードが歪む原因と、具体的な対処法を解説してきました。しかし、なかには「すでに手元のレコードが歪んでしまっている」と思う方もいるでしょう。
そこでここからは、レコードの歪みを修復する2つの方法を解説します。
- 重しと加熱を使った矯正
- 専門業者に依頼する
レコードの物理的な歪みは、適切な方法を取れば修復できます。適切な吸う服によってレコードは元の形状に戻り、クリアな音質を取り戻せるのです。
自宅でも実践できる方法と、より専門的な技術を利用できる専門業者への依頼の2つを紹介するので、状況にあわせて使い分けてみてください。
1.重しと加熱を使った矯正
軽度から中程度の物理的な歪みであれば、重しと適切な加熱処理を組み合わせた方法を用いて自宅での修復が可能です。この方法はレコードの素材であるビニールが熱で変形する特性を利用して、もとの状態に戻すことを目指します。
重しと加熱による矯正を行う場合には、ディスクフラッターを使用しましょう。ディスクフラッターとはディスクに均一な圧力をかけた状態で加熱し、レコードを平らに戻す機械です。
使い方は簡単で、レコードをディスクフラッターに入れ、加熱時間を選択するだけです。加熱後は加熱時間に応じた冷却時間分待つだけで、レコードの形状が強制されます。
ディスクフラッターは便利ではあるものの、歪みの状態やレコードによってはもとに戻らない場合や破損する場合もあります。貴重なヴィンテージレコードの場合は、次に紹介する専門業者への依頼を検討すべきです。
2.専門業者に依頼する
深刻な歪みが発生している場合や特に貴重なレコードを修復する場合は、専門的な知識と設備を持つ業者に修復を依頼するのが確実です。
専門業者が持つ温度や圧力を精密に制御できる機器を利用すれば、レコードの素材や状態に合わせた最適な対応をおこなってもらえます。また、専門家の長年の経験と専門知識に基づく判断で、レコードを傷めるリスクを最小限に抑えながら修復作業をおこなえるのも大きな魅力です。
信頼できる専門業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしましょう。
- オンラインのレビューや口コミ
- 高価なヴィンテージレコードの修復実績
- 修復技術や使用する修復手法の詳
- 修復が成功しなかった場合や、作業中に問題が生じた場合の保証制度
自身で直そうとして失敗すると、専門業者の技術を用いても再生できなくなる可能性があります。万が一失敗して困る場合は、無理に自力で修復しようとせず、専門業者への依頼をおすすめします。
レコードが歪む要因
前述の通り、レコードが歪むのは高音や直射日光、圧力、湿気などが原因です。これらを避けて保管すれば、レコードが歪んだりたわんだりするリスクを低くできます。
ここからはレコードの歪みを防ぐために、保管時の注意点をレコードが歪む要因とともに解説します。
レコードが歪む要因
- 長期間の保存状態の悪さ
- 不適切な収納ケースの使用
- プレイヤーとの相性や誤使用
レコードを正常な形に保てるよう、各パートをチェックしてレコードの保管方法をマスターしましょう。
1.長期間の保存状態の悪さ
長時間にわたる不適切な環境での保管は、レコードの歪みを引き起こす大きな要因です。保管の際は前述した高温環境や高湿環境を避け、レコードが正常な形を維持できる環境で保管しましょう。
具体的には以下のポイントを押さえることで、レコードの保存状態を良好に保てます。
- 直射日光が当たる場所や、30℃を超える可能性がある環境に放置しない
- 押入れや窓付近など、湿気が溜まりやすい場所を避ける
- シリカゲルや除湿剤などとともに保管する
適切な保存環境を維持すればレコードの歪みを予防し、正常な音楽を奏でられる状態にレコードを保ちましょう。
2.不適切な収納ケースの使用
レコードの歪みを引き起こすもう一つの重要な要因は「圧力」であると前述しました。つまり保管時には、不均一な圧力や過度な圧力がレコードにかからないように保管する必要があります。
不適切な収納ケースを使用すると、圧力による変形が起こりやすくなります。
不適切な収納ケースの例
- レコードを垂直に保管する高さがないケース
- レコード同士の隙間を均一に保てないケース
- 揺れや振動がレコードに伝わりやすいケース
安価なプラスチック製ケースや、レコード用ではない不適切なサイズのケースで保管すると、レコードに不均一な力や圧力がかかりやすくなります。
収納ケースを選ぶ際はレコード専用のものを選ぶだけでなく、手元のレコードのサイズや枚数に合わせて最適なものを選びましょう。
3.プレイヤーとの相性や誤使用
レコードの歪みは、プレイヤーとの相性や誤った使用方法によっても引き起こされることがあります。特にカートリッジの調整が不適切な場合、再生中にレコードに過度な圧力がかかり、微細な溝が変形して音質劣化の原因となります。
プレイヤーに関連する問題の中で一般的なのは、針圧の設定ミスです。針圧が重すぎると、カートリッジの針がレコード溝を物理的に傷つけ、軽すぎると針がレコード表面で適切に追従せず、音飛びや歪みの原因となります。
他にも以下のような場合には、不適切な力によってレコードが破損・変形する場合があるため、事前にチェックが必要です。
- (正面から見た際に)針がレコードに対して90°になっていない
- (真横から見た際に)針がレコードに対して90°になっていない
- プレーヤーが水平な場所に置かれていない
レコードを使用する際にも歪みが発生する可能性があることを理解し、保管時とあわせて注意して扱いましょう。
レコードの正しい保管方法
ここまで解説したように、レコードは誤った使用方法や不適切な保管方法によって歪みが生じます。特に保管されている期間はレコードを使用する期間よりも長いため、より注意深くその環境を整える必要があります。
再度、レコードの正しい保管方法をおさらいしておきましょう。
レコードの正しい保管方法
- 30℃以上になる可能性がある場所は避ける
- 保管場所には、直射日光が当たらない場所を選ぶ
- 窓周辺や押入れなど、湿度が高くなりやすい環境を避ける
- シリカゲルや除湿剤などを周辺に配置する
- レコードは垂直に立てて保管する
- 専用のレコードボックス、もしくはレコードに負荷がかからないケースで保管する
- レコード専用の保存袋に入れて保管する
- 保管前にはレコード表面の汚れやほこりを取り除く
上記を徹底すれば、レコードが歪むリスクを最小限に抑えながら保管できます。
歪んでいるレコードは買い取ってもらえる?
ここまで解説したように、歪みのあるレコードを直すのにはお金と手間がかかります。もしレコードが歪んでしまった場合、売却してしまうのも一つの方法です。歪みのあるレコードでも、その希少性や内容によっては買い取ってもらえます。
ただし、歪みの程度や種類によって買取価格は大きく変動します。また、状態によっては買取を断られることもあるため、事前にどのようなレコードが買い取ってもらいやすいか知っておくことで、選択肢を絞りやすいでしょう。
大前提、専門店では歪みの程度や修復可能性を見極め、再販価値のあるものを選別しています。そのため希少価値の高いレコードや市場で人気のレコード、コレクターからの需要が高いレコードなどは多少の歪みがあっても買い取ってもらえます。
また、歪みが軽度であるものや修復が容易なものも、再販できる可能性が高いため買い取ってもらいやすいです。
ただ、歪みの状態や市場での需要、希少価値を自身で判断するのは困難に近いでしょう。そこで、買取を検討する場合は一度専門知識を持つ買取業者に相談してみることをおすすめします。
歪んでいるレコードの買取ならまねきやがおすすめ
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この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。