硬貨の洗浄はやり方を間違えると、硬貨に傷がついたり変形したりします。表面がきれいになったにも関わらず古銭としての価値が下がってしまう場合もあるので、この記事で解説する硬貨洗浄の注意点をぜひチェックしておきましょう。
この記事では硬貨の正しい洗い方と、その注意点をご紹介します。また古銭を売るにあたって知っておきたい、売れる場所と売却のコツも説明するため、参考にしてください。
「古銭って、きれいにすると価値が上がるのかな?」
「そもそも硬貨って洗浄していいの?」
このように悩んでいる方も、最後まで記事を読めば古銭の洗浄に関する疑問がなくなります。
硬貨(古銭)をきれいに洗浄する前に知っておくべきこと
ここからは古銭の洗浄に関する疑問を解説していきます。
- 硬貨(古銭)を洗浄するのは違法?
- 硬貨(古銭)を洗浄すると価値が下がる?
古銭の価値は、希少性・年代・保存状態・歴史的意義などの複合的な要素で決まります。特に重要なのが「自然な経年変化」で、これは単なる汚れではなく、長い時間をかけて形成された「歴史の証」として高く評価されます。
特に記念硬貨や古い年号の硬貨、外国硬貨などは、素人判断での洗浄は絶対に避けるべきです。価値判断に迷った場合は、まず専門の買取業者や鑑定士への相談を強くおすすめします。
1.硬貨(古銭)を洗浄するのは違法?
硬貨の洗浄行為そのものは違法ではありませんが、洗浄の目的や程度によっては法的問題が生じる可能性があります。
日本では「貨幣損傷等取締法」により、故意に貨幣を損傷したり改変したりが禁止されています。この法律は現在流通している法定通貨(1円、5円、10円、50円、100円、500円硬貨)を主な対象としており、軽微な清掃程度であれば問題になることは稀ですが、表面を削り取るような処理や、硬貨の形状・重量を変えるような行為は法律に抵触する恐れがあります。
一方、明治以前の古銭は現代の法定通貨ではないため、同法の適用外とされるのが一般的です。ただし、明治から昭和初期にかけての廃止硬貨の中には法的にはまだ有効な通貨として扱われるものもあるため、洗浄は避けるのが無難といえます。
2.硬貨(古銭)を洗浄すると価値が下がる?
単なる業界慣習ではなく、科学的・経済的な根拠に基づいた判断として、古銭の洗浄は避けるべきです。自然に形成された変色や酸化膜は美しい劣化の印でもあり、コレクターもそのような劣化をポジティブに評価する場合もあります。
銀貨の場合、美しい虹色のトーニング(変色)はコレクターに特に高く評価されますが、一度洗浄で失うと銀貨の価値が急落します。
特に注意が必要なのは、「きれいにした方が高く売れるだろう」という一般的な感覚と、古銭市場での実情が正反対である点です。古銭の世界では「自然な状態でこそ価値が高まる」という原則があり、人工的な美しさよりも歴史的な真正性が重視されます。
売却を検討している古銭は洗浄せず、そのままの状態で専門業者に査定してもらうことが価値を最大化する最良の方法です。
素材別硬貨(古銭)を洗浄する方法
(この章で紹介する方法は、あくまで「やむを得ない場合の最低限の知識」として提供するものです。価値のある古銭や収集的意義のある硬貨にはいかなる洗浄も行わず、専門家への相談を強く推奨します)
ここからは、硬貨洗浄の方法を素材別に解説します。
- 金貨の場合
- 銀貨の場合
- 銅貨の場合
- ニッケルの場合
- アルミニウムの場合
- 紙幣の場合
硬貨の洗浄は避けるべきですが、方法だけでも知っておくことでそれぞれの素材の価値や特徴をより深く理解できます。
1.金貨の場合
金貨は化学的に比較的安定した金属で構成されているため、適切に行えば軽微な汚れの拭き取りは可能ですが、実際には多くの重大なリスクがあります。
まず金は想像されているよりも柔らかく、擦るだけで傷がつく可能性があるのです。また、純金100%ではなく銅や銀が添加された合金である場合でも、洗浄によって黒ずみや虹色の変色が失われることで価値が急落する恐れがあるのです。
どうしても気になる場合でも、マイクロファイバーや研磨剤の入っていないクロスで撫でるように拭く程度の清掃に留めておきましょう。
石鹸や洗剤、金属磨き剤や研磨剤は使用してはいけません。
2.銀貨の場合
銀貨は時間が経つことで「硫化銀」となり、黒ずみが発生します。また、虹色の変色が発生する場合もあります。洗浄ではこれらを落とすことができますが、これらの劣化が自然なものとして評価される場合もあり、取り除くことで価値が下がる場合もある点には留意しておきましょう。
簡単な方法は歯磨き粉を使って表面を擦る方法です。貴金属磨きクロスなどの市販の洗浄用具を使用して汚れを取り除くこともできます。
ただし、本来の質感が失われる可能性が高いため、慎重に洗浄すべきかを判断しましょう。
3.銅貨の場合
銅貨は比較的洗浄しやすい金属です。銅の汚れとして特に問題となる「緑青」は酢やレモン汁といった酸性の液体で洗浄すると容易に落とせます。
古銭にはびっしりと濃い緑青がついている場合もあり、酸性の液体では落とせない場合もあります。その場合、緑青落とし専用の洗剤 (緑青クリーナー)を使用すればきれいに洗浄できます。
ただ、これらの天然の色調は、その硬貨が本物であることの証明になる場合もあります。どうしても拭き取りが必要な場合を除いて、古銭の専門知識をもつ業者に相談してみることをおすすめします。
4.ニッケルの場合
ニッケル自体は比較的耐食性の高い金属であるため、重曹やクレンザーなどを使って洗浄すれば表面の汚れを落とせます。ただし、ニッケルはほとんどの場合は合金として使用されるため、ニッケルだけでなくともに使用されている金属の性質を理解したうえで慎重な取り扱いが必要です。
例えば現代日本の硬貨でニッケルを含むものは主に50円硬貨と100円硬貨でそれぞれ銅が含まれています。そのため前述した銅の取り扱いを加味しつつ、金属に影響がでないように洗浄する必要があります。
5.アルミニウムの場合
アルミニウム硬貨は他の金属と異なり、酸性の液体で汚れを落とせません。アルミニウムは両性金属と呼ばれており、酸性の液体に触れるとイオン化して溶け出すことがあるためです。汚れを落とすつもりの処理が、実際には「硬貨を溶かす」結果になってしまうこともあります。
そのためアルミニウムを洗浄するのであれば、中性洗剤や研磨用のクリームなど、金属を腐食しない洗浄方法を選択しましょう。
6.紙幣の場合
紙幣は硬貨とはまったく異なる材質と構造を持つため、液体を使った洗浄はNGです。汚れがあるからといって濡らしたタオルなどで拭くだけでも破れる可能性があるため、洗浄は避けましょう。
紙幣に汚れやシミ、折れ目などが生じた場合は、絶対に自己処理を試みず、専門知識を持つ買取業者に依頼し、対応を仰ぐことをおすすめします。
インターネットで検索すると「アイロンをかける」「重いもので押さえる」「セロハンテープで補修する」といった処理がおすすめされている場合もありますが、リスクを考えると控えるのが無難です。
硬貨(古銭)を洗浄する際の注意点
硬貨を洗浄するのは、かえって硬貨を傷つけたり変色させたりするリスクがあります。
くれぐれも汚れだけを落として、きれいな状態を保つために心がけたいポイントがあります。
- 硬貨は変形させてはいけない
- 金貨はやわらかい素材のため変形しやすい
- 売却を考えている硬貨の場合は洗浄不要
上記3つのポイントとその理由をご説明します。
1.硬貨は変形させてはいけない
貨幣損傷等取締法により、「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。」と定められています。そのため汚れをとる程度であれば問題ありませんが、ヤスリなどで削ることは硬貨を変形させることにあたってしまうのです。
どうしても洗剤などでとれない汚れをきれいにしようと削る行為は犯罪になるため絶対にやらないよう注意してください。
また、同様に硬貨を変形させてしまうような、日光によって高温になりやすい窓際や、金属の棚などには保管しないように気をつけてください。
2.金貨はやわらかい素材のため変形しやすい
金を素材にした効果の場合は変形しやすいので特に注意が必要です。
金貨は基本的に現物資産として扱われており、99.99%の純金でできています。
金の含有量が多いほど、とてもやわらかく傷つきやすい状態です。
せっかくの金貨でも傷がついてしまえば、その分価値は下がってしまうのです。傷つきやすい状態から金貨を守るためにも、専用のケースに入れるなど保管方法に気をつけてください。
ただし、金貨の場合はそもそも汚れがつきにくい性質のため、優しく拭き取る程度のお手入れで問題ありません。
汚れを落とそうと強く擦れば、金貨の傷の原因になるためくれぐれも注意してください。
3.売却を考えている硬貨の場合は洗浄不要
買い取りに出す場合、古銭はきれいな状態であった方が高く売れる傾向にありますが硬貨の場合は必ずしもそうとは限りません。
なぜなら人工的にきれいにすると逆に価値が下がってしまう可能があるためです。特に古銭であれば、作られた当時の趣を感じられる汚れや錆びがあってこそ、価値につながる可能性もあるのです。
不自然に汚れや錆を落として、ピカピカにしてしまうとコレクター需要が下がるリスクがあるのです。自然のままの状態の硬貨を求める方が多いため、汚れているからといってきれいに掃除しないよう注意しましょう。
最初から売却目的であれば、そのままの状態で保管しておくことがおすすめです。必要以上にさわって汚れをつけたり、こまめに掃除したりしないで、自然な状態で管理するのがポイントです。
硬貨(古銭)の正しい保存方法
古銭の価値を下げないためには、洗浄よりもむしろ「予防的保存」が重要かつ効果的です。適切な保存環境を整えることで劣化を最小限に抑え、収集価値を維持できます。
おすすめの保管方法
- コインケースに保管する
- 直射日光を避ける
- コイン同士の接触は避ける
- 触る場合は柔らかい布で
それぞれチェックして、最大限きれいな状態で古銭・古紙幣を保管しましょう。
1.コインケースに保管する
適切なコインケースでの保管は、物理的接触から硬貨を保護するのに役立ちます。専用のコインケースであれば湿気がたまりづらく、カビや汚れからも古銭を守れます。
個別に古銭を保管できるコインケースはインターネットで容易に手に入ります。傷や汚れから古銭を守るためにも、なるべく早い段階からケースに入れて大切に保管しましょう。
なお、ケースを選ぶ際は古銭にあったサイズを選んでください。サイズの合わないケースに保管すると古銭に不均一な力がかかり破損の原因になります。
厚みがあってコインケースに入らない場合は、スリーブや台紙での保管も検討しましょう。
2.直射日光を避ける
古銭を保管する際は直射日光を避け、冷暗所で保管しましょう。紫外線は古銭にとって短期的な悪影響を及ぼさないものの、長期的には金属組織の変質・色素の退色・材質の脆化など、修復の難しい損傷を引き起こします。また、直射日光が当たると古銭の温度が上がり、歪みや破損を引き起こす可能性があります。
また、直射日光を避けて保管場所を探すと、どうしても高湿な場所になりがちです。しかし、湿度の高い場所に保管するとカビが発生したり腐食が起きたりする可能性があります。だからこそ、直射日光は避けつつ湿気のたまらない場所を選ぶことが重要です。
具体的には、窓から離れた室内の棚や引き出し、専用の収集キャビネットなどが適しています。湿気がたまらないよう、保管時には乾燥剤や防湿剤を併用しましょう。
3.コイン同士の接触は避ける
古銭をなるべくきれいな状態で保管したいなら、それぞれの硬貨が触れないようにしておきましょう。金属同士の接触による損傷は一見軽く見えても、劣化している古銭にとっては致命的な衝撃になり得ます。
また、わずかなヒビや欠け、コイン同士が擦れてつく傷によって表面のデザインや文字が見えなくなると買取額が大きく下がる場合もあります。コイン同士の接触はもちろん、落としたりぶつけたりして傷がつかないよう、取り扱いには細心の注意を払いましょう。
理想的な保管方法は「個別保存」です。各硬貨を専用のコインホルダーに収納し、コイン同士が触れないようにしておきましょう。数が多いと費用がかかりますが、できるだけまとめて箱に入れるのは避け、個別保管してください。
4.触る場合は柔らかい布で
人間の皮脂や汗が硬貨に付着すると、塩分と水分によって錆や変色が生じる場合があります。そのため、硬貨を触る場合は柔らかい布を使って手の塩分や水分が付かないように工夫しましょう。
布手袋をつけて触れるのがよいですが、なければタオルを介してつかんだり、ニトリル手袋で代用したりするのもOKです。
硬貨(古銭)はどこで売れる?
硬貨(古銭)を売る方法は、主に次のようなパターンがあります。
- 専門の買取業者
- オークションサイト
- フリマアプリ
- 銀行(両替)
オークションサイトやフリマアプリはとても手軽に利用でき、自分で値段をつけられるところが魅力です。ただし、売却時に直接購入者とやり取りする手間がかかり、高価な品物であれば後のトラブルのリスクも高くなります。
また、銀行の両替も可能ですが、古銭のコレクターとしての価値は考慮されない分、安く手放す結果になってしまいます。
そこで、おすすめしたい方法こそ専門の買取業者に買い取ってもらうことです。古銭の買取はその種類の価値を見極められる、実績と知識がある鑑定士に鑑定してもらうことが、損をしない方法です。
古銭や金貨、銀貨、銅貨は常に価値が変動しています。そのときの世界的な価値に合わせて、買い取ってくれる専門業者を探しましょう。
まとめ
昔から集めていたコインや古銭が出てきた場合、本当はきれいに洗浄したほうがいいのか悩むケースもあります。しかしこのまま保存する必要がなく、できれば売却したいと考えているのならむやみにきれいに掃除しないことも大切です。
まず価値があるのか知りたいと言った状況も、専門の買取業者に査定依頼をおすすめします。
まねきやでは古銭の買取実績豊富な鑑定士により、1点1点を丁寧に鑑定いたします。長年放置されていた古銭の中にも、実はお宝が隠れているかもしれません。
実際に価格を聞いた上で、売却するかどうか判断していただくことも可能のため、ぜひお気軽に無料査定をご依頼ください。店頭買取はもちろん出張買取や宅配買取も承っています。もっとお手軽な方法として、写真を送るだけで鑑定できるLINE査定もご用意しています。

この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。