「昔のお金は、現在だとどのくらいの価格になるの?」
「整理して出てきた昔のお金の価値が知りたい」
このようなお悩みをお持ちの方のために、本記事では昭和・大正・明治時代などのお金の価値について、詳しく解説します。手元にある昔のお金の価値が知りたい方や、現在と比較するとどのくらいになるかを知りたい方は、一読ください。
明治時代の1円は現在の2,000円?それとも2万円の価値がある?
お金の価値は、時代のサービスや価格の変動により大きく変わります。例えば、明治30年の1円硬貨は、現在の価値に照らし合わせると3,800円ほどの金額になります。理由は多岐に渡りますが、1番の原因は明治30年ごろの物価と、現在の物価を比較して生まれる差分です。
ただし、必ず3,800円の価値になるわけではありません。同じ時代でも、仕事が違ったり、生活環境も違ったりするため一定の水準であると断定できないからです。
例えば、当時の教員や公務員がもらっていた月給は8〜9円程度でした。熟練の大工さんや実力のある技術者は月給20円ほどと、高く設定されていました。
現在の公務員の初任給が18〜20万円のため、当時の人たちにとって1円の価値は現在だと2万円と同じ価値だったといえます。
大正時代の1円は現在の500円の価値がある
明治時代と比較して、大正時代の1円はどれくらいの価値があるでしょうか。日本銀行が公表している企業物価指数をもとに計算すると、大正2年(1913)と令和5年(2023)の場合1円の価値は、現在だと約1,840円に相当します。ただし、同じ大正時代でも価値の幅は大きく変化します。
たとえば、大正9年(1920)と令和5年(2023)の企業物価指数をもとにした計算だと、当時の1円は現在約710円の価値です。これほどの幅がある背景には、経済成長力や貿易の収支、国が安定している点などが原因として考えられます。
お金の価値自体、国によって違いがあるのは経済成長の発展に差があるからです。そのため経済成長などの動向を把握することが大切です。
昭和時代の1円は時期によって価値は大きく変わる
第二次世界大戦が始まったころに作られた1円の価値は、戦前と戦後で大きく変わります。戦前の昭和6年(1931)と令和5年(2023)の企業物価指数をもとに計算すると、当時の1円が令和5年時点で約1,833円の価値があると計算できます。
戦後の昭和20年(1945)と令和5年(2023)の企業物価指数をもとに計算すると、当時の1円は令和5年時点で約338円の価値です。徐々に現代の価値に近づいているのがわかります。
昭和35年(1960)になると1円は250円ほどの価値になり、昭和55年(1980)になり現代と近い価値に定着してきました。
このように、1円の価値は日々変化しているため、今後も動向を把握する必要があるでしょう。
戦前に発行された貨幣の特徴
第二次世界大戦が始まる前に発行された日本の貨幣は、主に金や銀、銅などの貴金属を使用して作られた硬貨が多く見られます。昭和の最初は、明治に続いて、以下の貨幣が継続して造られていました。
- 1銭
- 5銭
- 10銭
- 50銭
明治30年以降は5円、20円も作られています。特に、明治時代から大正時代にかけて、貨幣の柄が丁寧に作られており、コレクターの間で収集価値が高く人気です。
硬貨の絵は、それぞれの種類で異なっており、例えば1銭だと、カラスが刻印された黄銅貨のものや、桐の柄が彫られた青銅貨もあります。青銅貨は昭和13年に発行されていますが、戦争の影響で、素材が青銅からアルミへ変化しレアな貨幣とされてきました。
5銭の素材はニッケルで、現在の50円玉と同じ素材が使われていました。硬貨の絵は、とびや菊が描かれています。10銭も菊の柄で、硬貨の素材は白銅貨やニッケルでした。
50銭は銀貨で、菊と鳳凰の柄が刻印されています。5円、20円は金貨で、日章の絵が描かれてます。
また、当時は金本位制(金を通貨の価値基準とする制度)が採用されていたので、貨幣自体に一定の金の価値が裏付けられていました。現存している硬貨のほとんどが、明治時代に製造されたもので、昭和初期の硬貨は希少価値が高いのも特徴です。
1.戦前に発行された硬貨一覧
第二次世界大戦が始まる前の硬貨は、明治時代に作られたものがほとんどです。そのため昭和初期の硬貨はレアで価値も高い傾向です。中でも黄銅貨の1銭は、昭和13年以外は発行されてないため、希少性が高いでしょう。
以下は、戦前に造られていた硬貨の早見表です。
銭・円 |
材質 |
図案 |
1銭 |
黄銅貨・青銅貨 |
カラス・桐 |
5銭 |
ニッケル |
とび・菊 |
10銭 |
白銅貨・ニッケル |
菊 |
50銭 |
銀貨 |
菊・鳳凰 |
5円・20円 |
金貨 |
日章 |
第2時世界大戦開戦前の硬貨は、銭の価値が上がるにつれて、素材も高価なものを使っているのが特徴です。しかし、第2時世界大戦開始と同時に、日本は資源不足となり1銭硬貨や5銭硬貨など、銭はほぼアルミニウム製に変更されています。1銭硬貨に関しては亜鉛で作られているものもあるため、すべてがアルミで作られてたわけではありません。
当時は資源が枯渇していたため、硬貨の柄なども徐々に簡素なものへと変化していました。
2.戦前に発行された紙幣一覧
戦前の昭和初期に紙幣が製造された起源は、関東大震災がきっかけとなっています。当時震災があったあと、世の中の不安を解消するために作られたとされてます。その紙幣の名前は「日本銀行兌換券(だかんけん)」と言われており、金と交換するための引換券として使われていました。見せ金の狙いもあったため、市場に多く流通していないので、希少価値の高い紙幣です。
金本位制時代のものや、当時の経済状況がわかるデザインが特徴的です。歴史的価値が高く、コレクターズアイテムとして人気があります。
紙幣 |
図案 |
5円 |
菅原道真(すがわらのみちざね) |
10円 |
和気清麻呂(わけのきよまろ) |
20円 |
藤原鎌足(ふじわらのかまたり) 談山神社十三重塔 (たんざんじんじゃじゅうさんじゅうのとう) |
100円 |
藤原鎌足(ふじわらのかまたり) |
200円 |
彩紋(さいもん)昭和2年4月発行 武内宿禰(たけのうちのすくね)昭和20年8月発行 藤原鎌足・談山神社拝殿(たんざんじんじゃはいでん) 昭和20年4月発行 |
日本銀行兌換券は、円によっては複数の図案で作られているものもあり、より短い期間の間製造されていたものほど希少性が高くなっています。
出典:日本銀行金融研究所「明治以降の紙幣」
戦時中に発行された貨幣の特徴
第二次世界大戦中に発行された貨幣は、資源不足の影響を受けて、素材が変更されて製造されていました。金貨、銀貨、青銅貨などは使用されず、アルミニウムや陶器で作られ、デザインも簡素化されました。
そういった背景もあり、戦時中の貨幣は戦前、戦後に比べると人気がなく、値段が下がりやすい傾向にあります。
1.戦時中に発行された硬貨一覧
第二次世界大戦中の硬貨は、資源の枯渇で素材がアルミニウムや錫に変更された背景があります。以下が早見表になります。
銭・円 |
材質 |
図案 |
1銭 |
アルミニウム・錫 |
カラス・富士・菊 |
5銭 |
アルミニウム・錫 |
とび・菊 |
10銭 |
アルミニウム・錫 |
菊・桜・稲 |
50円 |
紙 |
桜・富士山 靖国神社・鳥居 |
戦争の激化にともない、金属が不足したことで50銭のみ紙幣に変更されています。銭の図案も、わかりやすいシンプルなものへと変更されていきました。硬貨を作るのに労力をかけていません。
この時期の硬貨は、劣悪な環境下で造られていた背景もあり人気が少ない傾向です。
2.戦時中に発行された紙幣一覧
戦時中は、インフレーション対策や資源を節約するために紙幣が造られましたが、同時に価値も低下しました。これらの紙幣は歴史的背景からも注目されています。以下が当時の紙幣早見表です。
紙幣 |
図案 |
1円 |
武内宿禰(たけのうちのすくね) |
5円 |
菅原道真(すがわらのみちざね) 北野神社(きたのじんじゃ) |
10円 |
和気清麻呂(わけのきよまろ) |
100円 |
聖徳太子(しょうとくたいし) 法隆寺夢殿(ほうりゅうじゆめどの) |
この時代では、国の経済の立て直しを図るために紙幣を大量に作っていた経緯があり、流通量が多くなっています。また、簡素な製造方法で作られたため、戦時中に発行された紙幣も全体的に価値が低い傾向です。ただし、同時期に作られた「兌換券甲号」だけは作られた数が少なく、流通量も少ないため希少性が高い紙幣になります。
出典:日本銀行金融研究所「明治以降の紙幣」
戦後に発行された貨幣の特徴
第二次世界大戦終了から8年後の昭和28年に少額通貨整理法が施行されました。これにより1円以下の通貨の使用がなくなり、現在と同じような通貨制度ができました。
硬貨や紙幣に使われている図案も、現在と同じようなものになり、大きな変革といえます。その後の通貨は、インフレに対応しながらも安定した価値を持つようになりました。
1.戦後に発行された硬貨一覧
少額通貨整理法が施行されて、円貨制度が確立された事により硬貨の材質は主にニッケルやアルミニウムが使用されました。また、昭和の終わりにかけて、貨幣のデザインも時代に合わせて変化していきます。以下は硬貨の種類を記載した早見表です。
円 |
材質 |
図案 |
1円 |
銅貨→アルミニウム |
架空の木 |
5円 |
銅貨 |
国会議事堂(穴なし) →稲(穴あり) |
10円 |
青銅貨 |
常盤木 平等院鳳凰堂 |
50円 |
白銅貨 |
日本国と五十円 3輪の菊花 |
100円 |
白銅貨 |
鳳凰・旭日 |
500円 |
ニッケル銅貨 |
桐・常緑樹の橘 |
硬貨の材質も、戦時中と比べると大きく刷新されていきました。図案も変化し、戦時中と比べると良くなっています。現存しているものも多く希少性の観点から価値が高いと言えません。しかし、穴なしの5円玉や、製造ミスで生まれたエラーコイン、百円銀貨など価値の高いものもあります。
エラーコインについては下記の記事でも詳しく解説しているため、参考にしてみてください。
エラーコインをわかりやすく解説!エラーの種類によっても価値は異なる
2.戦後に発行された紙幣一覧
戦後の紙幣は、経済復興を背景に図案を刷新しており、今の円紙幣へと変わってきました。以下が戦後の紙幣早見表です。
紙幣 |
図案 |
500円 |
岩倉具視(いわくらともみ) |
1,000円 |
聖徳太子(しょうとくたいし) →伊藤博文(いとうひろぶみ) |
5,000円 |
聖徳太子(しょうとくたいし) →新渡戸稲造(にとべいなぞう) |
10,000円 |
聖徳太子(しょうとくたいし) →福沢諭吉(ふくざわゆきち) |
法改正により紙幣も大きく変化したのがこの時期です。現代の紙幣へと変化していき現在使われている環境へと変わっていきました。
戦前に比べると流通量も多く希少価値も低いですが、500円札など現在製造されてない紙幣は貴重なお札といえます。
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この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
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