「5銭札ってどんな種類がある?」
「5銭札は売れるの?」
日本で昔に流通していた5銭札は現在使われていませんが、実はお札自体に価値が残っていることから骨董品として好まれています。とはいえ、古銭に馴染みがないと、それぞれのお札にどのような価値があるかわからないでしょう。
本記事では5銭札と5銭硬貨の種類とそれぞれの特徴、価値をご紹介していきます。買取で少しでも高く売却する方法もご紹介するので、古いお札や硬貨をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
5銭札とは
5銭札とは昭和初期に日本で発行された小額紙幣です。もともとは硬貨で発行されていましたが、戦争(昭和16〜20年)の影響で金属が不足したため、紙幣で製造されるようになりました。日本銀行券で発行されている紙幣のなかでは最も金額が小さいお札です。
5銭は1円の20分の1です。5銭札の現在の価値はおよそ17円であり、額面はあまり高くはありません。
- 昭和20年(1945年)での「1円」は令和5年(2023年)時点で「約338円」
- 5銭×338倍=約17円
ただし、現在は流通しておらず現存数も限られていることから骨董品として価値がつく場合があり、特に状態のよいものは額面以上で取引されるケースも多いです。
なお、5銭札と類似している小額紙幣には以下のような種類があります。
名称 |
特徴 |
発行・流通年 |
明治通宝十銭札 |
ドイツの工場で製造されたことから「ゲルマン札」とも呼ばれている。縦型の紙幣で鳳凰(ほうおう)と龍が描かれている。 |
明治5年(1872年)〜明治20年(1887年) |
大正少額紙幣十銭札 |
インフレによる銀価格の高騰により10銭銀貨の採算が合わなくなったため製造された紙幣。アラビア数字の「10」が記載されている。 |
大正6年(1917年)〜昭和23年(1948年) |
八紘一宇塔十銭札(い号券) |
後述する「い5銭券」と同時に製造された「い号券」のうちの10銭札にあたるお札。表面に宮崎県に建てられた「八紘一宇塔(はっこういちうとう)」が描かれている。 |
昭和19年(1944年)〜昭和28年(1953年) |
鳩十銭札(A号券) |
後述する「A5銭券」と同時に製造された「A号券」のうちの10銭札にあたるお札。表面に鳩、裏面は国会議事堂が描かれている。 |
昭和22年(1947年)〜昭和28年(1953年) |
明治通宝半圓 |
10銭札と同様に「ゲルマン札」の別名があり、縦型の紙に鳳凰(ほうおう)と龍が描かれている。券面の「半圓」の文字が特徴。 |
明治5年(1872年)〜明治32年(1899年) |
改造紙幣50銭(大蔵卿50銭) |
明治通宝の偽造しやすい欠点を打破するために作られた紙幣。50銭札は製造予定がなかったところから急遽発行された。「大蔵卿」と「五十銭」の文字が記載されている。 |
明治16年(1883年)〜明治32年(1899年) |
大正小額紙幣50銭 |
大正時代の銀価格の高騰によって発行された小額紙幣。急遽発行されたため、先代の「改造紙幣50銭」とデザインがにており、「大蔵卿」と記載されていた箇所にアラビア数字の「50」が記されている。 |
大正6年(1917年)〜昭和23年(1948年) |
政府紙幣50銭(富士桜50銭) |
当時流通していた小型50銭銀貨を軍需物資へ採用するため代わりに発行された紙幣。表面に富士山と山桜が描かれているため「富士桜50銭」とも呼ばれる。 |
昭和13年(1938年)〜昭和23年(1948年) |
政府紙幣50銭(靖国50銭) |
富士桜50銭と同時期に流通した政府紙幣。民間の印刷会社へ製造を委託したため、表面のデザインに「靖国神社」が採用され、「やすくに50銭」とも呼ばれる。 |
昭和17年(1942年)年〜昭和23年 |
政府紙幣B号50銭(板垣50銭) |
戦後間もない時期に、金属価格の高騰によって50銭効果の発行が追いつかないことから製造された小額紙幣。表面に板垣退助が描かれていることから「板垣50銭」とも呼ばれる。 |
昭和23年(1947年)〜昭和28年(1953年) |
いずれも5銭札よりも額面が高額であり、なかにはプレミア価値がつくものもあるため、古銭や古札を持っている方は、上記の紙幣がないかチェックしましょう。
5銭札の種類
ここからは、5銭札の種類とその特徴を詳しく解説していきます。
- い5銭券
- A5銭券
日本銀行券としての5銭札には上記の2つしかありません。そのため、それぞれの特徴を押さえれば5銭札のおおよその価値を網羅できます。
売却時の価値を判断するポイントを理解するためにも、それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
1.い5銭券
製造・流通年 |
昭和19年(1944年)〜昭和28年(1953年) |
発行枚数 |
約6億4100万枚 |
「い5銭券」とは、日本銀行が発行していたお札の種類の1つである「い号券」のうちの「5銭札」であり、昭和19年(1944年)〜昭和28年(1953年)にかけて流通しました。「い号券」には他にも、百円札・十円札・五円札・一円札・十銭札があります。
先述した通り、当初は5銭硬貨が製造されていましたが、戦争による金属の不足を補うために紙幣で発行されるようになりました。表面に鎌倉時代末期に活躍した武将、楠木正成(くすのきまさしげ)が描かれていることから、「楠公5銭札」とも呼ばれています。
「い号」の「い」は、当時の日本銀行券につけられた記号です。日本のお札は表面のデザインが変わるごとに記号を振り分けてそれぞれを分類しており、例えば、現代の北里柴三郎が描かれている千円札は「F千円札」、野口英世が描かれている千円札は「E千円札」です。戦時中は「い、ろ、は」によってお札を分類しており、「い号券」は一番目であったため「い号券」となります。
また、「い号券」は金と交換できない「不兌換紙幣」でもあります。昭和までの日本は、通貨の価値を金が担保する「金本位制」を導入しており、流通していたお札は金と交換できる「日本銀行兌換券」でした。
しかし、金融恐慌もあり「金本位制」から、中央銀行が通貨量をコントロールする「管理通貨制度」へ移行し、金と交換できないお札である「不兌換紙幣」として「い号券」の発行が始まった経緯があります。1953年に制定された「小額通貨整理法」により現在は廃止となっています。
具体的な価値は「5銭札の買取相場」で解説します。
2.A5銭券
製造・流通年 |
昭和23年(1948年)~昭和28年(1953年) |
発行枚数 |
約6億枚 |
「A5銭券」は、日本銀行が発行していたお札の種類の1つ、「A号券」のうちの「5銭札」であり、戦後の昭和23年(1948年)~昭和28年(1953年)にかけて流通しました。「A号券」には、5銭札の他に百円札・十円札・五円札・一円札・十銭札があります。
表面に梅の木と花が描かれていることから「梅5銭札」とも呼ばれており、縦48ミリメートル×横94ミリメートルと、これまでに製造された日本銀行券のなかで最も小さいサイズとなっています。現行の千円札は縦76ミリメートル×横150ミリメートルのため、かなり小さめのサイズであることがわかるでしょう。
戦後の日本は戦時中に制限されていた物資への需要と自由な現金の引き出しにより激しいインフレに見舞われました。政府はインフレ対策として通貨の流通量を抑えるために、旧札を強制的に銀行へ預入させて、生活費や事業費に使用する場合に限って現金の払い出しを認め、この際に新札として渡されたのが「A号券」でした。
「A5銭券」も「い5銭券」同様に、1953年に制定された「小額通貨整理法」により現在は廃止となっています。
「A号券」の具体的な価値は「5銭札の買取相場」で解説します。
5銭札の買取相場
5銭札の買取相場は、それぞれ以下の表のとおりです。
名称 |
買取相場 |
い5銭券 |
未使用品:100円〜250円 |
A5銭券 |
未使用品:150円〜800円 |
いずれも現在の額面価格である約17円よりは高くなり、保存状態によっては250円や800円の価格がつく場合もありますが、発行された年月が昭和初期と比較的新しく、発行枚数も多かったことから他の古札や古銭よりも価値が低い傾向にあります。
例えば、5銭札の次に額面価格の低い10銭札のなかで、流通していた時代が古いものは以下のように買取相場も高くなりやすいです。
名称 |
製造・流通年 |
買取相場 |
明治通宝10銭札 |
明治5年(1872年)~明治20年(1887年) |
未使用品:2000円~5000円 |
大正小額紙幣10銭札 |
大正6年(1917年)~昭和23年(1948年) |
未使用品:1000円~2500円 |
また、「い5銭券」と「A5銭券」のどちらも、質の悪い紙が素材となっている点も買取価格が高くなりづらい理由の1つです。同じ5銭の貨幣のなかでも、素材に銀が用いられている硬貨の買取相場は以下のように高額になります。
名称 |
製造・流通年 |
素材 |
買取相場 |
旭日竜5銭銀貨 |
明治3年(1870年)~明治4年(1871年) |
銀:銅=8:2 |
未使用品:3万円~5万円 |
旭日大字5銭銀貨 |
明治4年(1871年) |
銀:銅=8:2 |
未使用品:1万円~25000円 |
竜5銭銀貨) |
明治6年(1873年)~明治13年(1880年) |
銀:銅=8:2 |
未使用品:9000円~13000円 |
このように、5銭札の買取相場は、額面よりは高くなるものの高額買取は期待しづらいです。ただし、紙幣の表紙に印刷ずれや印刷漏れなどがみられるエラー紙幣は数千円の価値がつく場合もあります。
お手元の5銭札の高額買取を希望する場合は、紙面に印刷ずれや漏れがないかチェックしてみましょう。
5銭硬貨とは
5銭硬貨とは明治から昭和中期にかけて発行されていた小額の金属通貨であり、デザインや素材、流通した時代が異なる以下の12種類が存在します。
時代区分 |
5銭硬貨名称 |
素材 |
発行開始年 |
新貨条例による貨幣(明治4~30年) |
旭日竜五銭銀貨 |
銀80%、銅20% |
明治4年(1871年) |
旭日大字五銭銀貨 |
銀80%、銅20% |
明治5年(1872年) |
|
竜五銭銀貨 |
銀80%、銅20% |
明治6年(1873年) |
|
菊五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
明治22年(1889年) |
|
貨幣法による貨幣(明治30~昭和12年) |
稲五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
明治30年(1897年) |
大型五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
大正6年(1917年) |
|
小型五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
大正9年(1920年) |
|
五銭ニッケル貨 |
ニッケル100% |
昭和8年(1933年) |
|
戦時中(昭和13~19年) |
五銭アルミ青銅貨 |
銅95%、アルミニウム5% |
昭和13年(1938年) |
五銭アルミ貨 |
アルミニウム100% |
昭和15年(1940年) |
|
穴あき五銭錫貨 |
錫93%、亜鉛7% |
昭和19年(1944年) |
|
戦後(昭和20年〜) |
鳩五銭錫貨 |
錫93%、亜鉛7% |
昭和21年(1946年) |
最初に製造された5銭硬貨は明治4年(1871年)に発行された「旭日竜5銭銀貨」です。同年に発布された「新貨条例」のもと、新しい単位である「円」や、金1.5g=1円の比率などを定め、さらに50銭以下の銀貨と銅貨の製造も決定したことで「旭日竜5銭銀貨」が製造されました。
その後はお金に関する制度の改定や偽造貨幣への対策、戦争による金の不足など、時代背景に影響されながらさまざまな種類が製造されてきました。いずれの通貨も、1953年の「小額通貨整理法」により現在は使用できません。
5銭硬貨の種類
ここからは5銭硬貨の種類を、素材別に分けてご紹介します。
- 5銭銀貨
- 5銭白銅貨
- 5銭ニッケル貨
- 5銭アルミ青銅貨
- 5銭アルミ貨
- 5銭錫貨
古銭に馴染みがないと、いずれの硬貨も同じ種類に見えてしまい見分けがつきづらいでしょう。しかし、5銭硬貨の現在の価値は数十円〜数万円と幅広いため、それぞれの特徴を把握してどのような硬貨に価値があるのか把握しておきましょう。
もしかすると、お手元の5銭硬貨に思わぬ価値があるかもしれません。
1.5銭銀貨
5銭硬貨名称 |
素材 |
発行開始年 |
発行枚数 |
デザイン |
旭日竜五銭銀貨 |
銀80%、銅20% |
明治4年(1871年) |
約150万枚 |
表面:龍 |
旭日大字五銭銀貨 |
銀80%、銅20% |
明治5年(1872年) |
約160万枚 |
表面:「五銭」 |
竜五銭銀貨 |
銀80%、銅20% |
明治6年(1873年) |
約4700万枚 |
表面:龍 |
5銭銀貨には明治初期に発行された上記3つがあげられます。「旭日竜五銭銀貨」と「旭日大字五銭銀貨」は、どちらも1年でデザインが変更となっているため発行枚数が少なく、希少価値も高くなりやすいです。
また、「旭日竜五銭銀貨」には「明瞭ウロコ」と呼ばれる、表面に描かれている龍のウロコがはっきりとしている個体がありプレミア価値がつき、未使用品では10万円前後で取引される場合もあります。
「竜五銭銀貨」は他の2つよりも多く発行されているため、希少価値も比較的低くなります。ただし、「竜五銭銀貨」にもプレミア価値のつく「ハネ明」と「トメ銭」の2つがあります。
名称 |
特徴 |
買取参考価格 |
ハネ明 |
竜の描かれた表面に記載された元号である明治の「明」の字が普通品と異なる。 |
未使用品:〜4万円 |
トメ銭 |
裏面に記載された「五銭」の文字のうち「銭」のつくり側である「戔」の一部がハネではなくトメになっている。 |
未使用品:〜4万円 |
上記2つは普通品よりも買取価格も高くなりやすいため、「竜五銭銀貨」をお持ちの場合はチェックしてみましょう。具体的な買取相場は「5銭硬貨の買取相場」でご紹介します。
2.5銭白銅貨
5銭硬貨名称 |
素材 |
発行開始年 |
発行枚数 |
デザイン |
菊五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
明治22年(1889年) |
約1億3000万枚 |
表面:菊花紋章 |
稲五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
明治30年(1897年) |
約530万枚 |
表面:「五銭」・稲穂 |
大型五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
大正6年(1917年) |
約8300万枚 |
表面:桐 |
小型五銭白銅貨 |
銅75%、ニッケル25% |
大正9年(1920年) |
約4億5800万枚 |
表面:桐 |
5銭白銅貨には、明治から大正にかけて4種類が発行されました。先述の5銭銀貨は直径が15.15ミリメートルと小さく使いづらかったこともあり、20.60ミリメートルまで大きくした「菊五銭白銅貨」が製造されます。しかし、図柄が表の菊と裏の「五」の文字のみとシンプルすぎたゆえに偽造通貨が出回ってしまったため、デザインを変更した「稲五銭白銅貨」が明治30年(1897年)に発行されました。
ただ、先代の「菊五銭白銅貨」を積極的に回収しなかったため、後発の「稲五銭白銅貨」はあまり出回らず、発行枚数も比較的少なめとなっています。
その後、大正6年(1917年)には貨幣法の改正にともない「大型五銭白銅貨」が製造されます。それまで使われていた「菊五銭白銅貨」と「稲五銭白銅貨」には、同時期に流通していた「旭日二十銭銀貨」と混同しやすい問題がありました。そのため、新しく製造された「大型五銭白銅貨」では真ん中に穴をあけたデザインが採用されます。
しかし、「大型五銭白銅貨」も同時期に存在した「十銭白銅貨」と似ているなどの欠点があったため、今度はサイズを小さくした「小型五銭白銅貨」が大正9年(1920年)が発行されました。
流通量の少なかった「稲五銭白銅貨」と「大型五銭白銅貨」は比較的価値が高くなりやすく、発行枚数の限られている年銘の個体は数万〜数十万円の買取価格になる場合もあります。
名称 |
プレミア品の発行年 |
買取参考価格 |
菊五銭白銅貨 |
明治28年(1895年) |
未使用品:6万円~12万円 |
稲五銭白銅貨 |
明治36年(1903年) |
未使用品:10万円~20万円 |
具体的な買取相場は「5銭硬貨の買取相場」でご紹介します。
3.5銭ニッケル貨
5銭硬貨名称 |
素材 |
発行開始年 |
発行枚数 |
デザイン |
五銭ニッケル貨 |
ニッケル100% |
昭和8年(1933年) |
– |
表面:旭光・金鵄 |
5銭ニッケル貨は、昭和8年(1933年)から製造開始された1種類のみです。ニッケルへ変更した理由には戦争のための金属備蓄があげられます。当時の日本は戦争へ備えて、軍需物資となる金属の備蓄が不可欠であり、特に日本でほとんど採れなかったニッケルの備蓄が重要でした。しかし、軍需目的でニッケルを使用するとなると、外国に輸出を止められてしまいます。
そのため、硬貨を作る名目のもとでニッケルを輸入し、5銭硬貨としてニッケルを備蓄したといわれています。なお、同時期に製造された「十銭ニッケル貨」も同じ理由で製造されています。
具体的な買取相場は「5銭硬貨の買取相場」でご紹介します。
4.5銭アルミ青銅貨
5銭硬貨名称 |
素材 |
発行開始年 |
発行枚数 |
デザイン |
五銭アルミ青銅貨 |
銅95%、アルミニウム5% |
昭和13年(1938年) |
約1億5200万枚 |
表面:桐 |
5銭アルミ青銅貨は昭和13年(1938年)から発行された1種類のみです。戦争が進むにつれて、硬貨として備蓄していたニッケルを軍需物資へと使用するために、比較的国内でも採れるアルミニウムと銅による硬貨が製造されました。
同時期には同じ素材でできた「十銭アルミ青銅貨」も製造されています。製造された年代が比較的新しいため、買取価格も高額にはなりづらいです。具体的な買取相場は「5銭硬貨の買取相場」でご紹介します。
5.5銭アルミ貨
5銭硬貨名称 |
素材 |
発行開始年 |
発行枚数 |
デザイン |
五銭アルミ貨 |
アルミニウム100% |
昭和15年(1940年) |
約11億円4600万枚 |
表面:菊花紋章・瑞雲 |
5銭アルミ貨は昭和15年(1940年)から発行された1種類のみです。「5銭アルミ貨」も、戦争の影響によって先代の「5銭アルミ青銅貨」の銅を軍需物資へ使用するため、代用品として作られました。ただし、アルミニウムさえも徐々に枯渇していき、昭和15年には1.2gだった重量が、昭和16年には1.0g、昭和18年には0.8gにまで減っています。
発行枚数が多く製造年も比較的新しいため、希少価値はそれほど高くありませんが保存状態によっては買取価格がやや高まるケースもあります。具体的な買取相場は「5銭硬貨の買取相場」でご紹介します。
6.5銭錫貨
5銭硬貨名称 |
素材 |
発行開始年 |
発行枚数 |
デザイン |
穴あき五銭錫貨 |
錫93%、亜鉛7% |
昭和19年(1944年) |
約7000万枚 |
表面:桐・瑞雲 |
鳩五銭錫貨 |
錫93%、亜鉛7% |
昭和21年(1946年) |
約1億8000万枚 |
表面:鳩 |
5銭錫貨には、「穴あき五銭錫貨」と「鳩五銭錫貨」の2種類があります。戦争の影響により、それまで硬貨に使用していた銅や亜鉛、アルミニウムなどが不足したため、当時占領下にあった東南アジアで豊富に採れた錫(すず)を用いて製造されたのが「穴あき五銭錫貨」です。しかし、次第に錫さえも調達が難しくなり、最終的に5銭硬貨の代わりに「い号券」として紙幣が発行されました。
昭和21年(1946年)に製造された「鳩五銭錫貨」はデザインが戦前のイメージが消されており、鳩とアラビア数字の「5」、さらに「大日本」の文字は「日本政府」へ変更されています。
素材の錫は日本国内ではあまり採れないため、昭和21年中には手持ちの錫を使い切って「鳩五銭錫貨」の製造を中止し、その後は「A5銭券」が5銭貨幣として使用されています。具体的な買取相場は「5銭硬貨の買取相場」でご紹介します。
5銭硬貨の買取相場
ここまで紹介した5銭硬貨の買取相場は以下のとおりです。
5銭硬貨名称 |
買取相場 |
備考 |
旭日竜五銭銀貨 |
未使用品:3万〜10万円 |
「明瞭ウロコ」と呼ばれるプレミア品は未使用品で10万円ほどの買取になる場合がある |
旭日大字五銭銀貨 |
未使用品:1万円〜2万5000円 |
明治4年(1871年)の前期と後期に分けて製造され、それぞれ買取価格が異なる |
竜五銭銀貨 |
未使用品:2000円〜4万円 |
「ハネ明」「トメ銭」と呼ばれるプレミア品は未使用品で5万円前後の買取になる場合もある |
菊五銭白銅貨 |
未使用品:3000円〜12万円 |
明治28年(1895年)銘はプレミア価値が付き、未使用品で10万円以上の買取になる場合もある |
稲五銭白銅貨 |
未使用品:5000円〜20万円 |
明治36年(1903年)銘はプレミア価値が付き、未使用品で20万円以上の買取になる場合もある |
大型五銭白銅貨 |
未使用品:700円〜4000円 |
なし |
小型五銭白銅貨 |
未使用品:150円〜3000円 |
なし |
五銭ニッケル貨 |
未使用品:100円〜500円 |
なし |
五銭アルミ青銅貨 |
未使用品:80円〜350円 |
なし |
五銭アルミ貨 |
未使用品:100円〜3000円 |
昭和16年(1941年)銘は未使用品で3000円ほどの買取になる場合もある |
穴あき五銭錫貨 |
未使用品:40円~100円 |
なし |
鳩五銭錫貨 |
未使用品:40〜350円 |
なし |
5銭硬貨の買取相場は種類ごとにさまざまですが、製造年が古いものは比較的高い価格で取引されやすく、昭和に製造されたアルミや錫が素材の硬貨は買取価格も低くなりやすいです。また、「菊五銭白銅貨」のように、保存状態によっては数百円から数万円と価格の差がひらく硬貨もあります。
ただし、上記はあくまで参考価格のため、保有している5銭硬貨にどの程度の価値がつくか知りたい場合は、買取業者へ相談してみましょう。
なお、「まねきや」では5銭硬貨の無料査定を実施しています。古銭の知識と査定経験の豊富な鑑定士の査定によって、どのような状態の古銭も適正な価格での買取を実現しています。LINEを使った無料査定であれば最短10分で査定額をお知らせするので、5銭硬貨をお持ちの場合はぜひ一度ご相談ください。
5銭札や5銭硬貨を高く売る方法とは
5銭札や5銭硬貨を高く売るためにも、以下のポイントを確実に押さえておきましょう。
- きれいな状態で保存する
- 古銭買取に強い業者へ依頼する
5銭札や硬貨を高く売るには、できるだけ保存状態を整えておきましょう。なぜなら5銭札や硬貨の買取価格は並品か未使用品か、どの程度状態がよいかで大きく異なるためです。
古銭のグレードの判定基準は買取業者ごとにさまざまですが、おおよそ以下のとおりです。
グレード |
特徴 |
未使用品 |
製造時と同じ状態であり、運搬の際の傷や汚れがほとんどない |
美品 |
運搬時の傷や汚れが多少みられるものの、製造時の輝きがわずかに感じられる |
並品 |
製造時の輝きはなく、傷や汚れ、変色、刻印の摩耗などがみられる |
査定の際になるべく高いグレードと判断してもらうためにも、5銭紙幣や硬貨は直射日光を避けて密閉できる容器に入れて保管しておきましょう。買取に出す際は表面に付いている簡単な汚れやホコリは取り除くことも、査定額アップに欠かせません。
ただし、過度に磨いたり薬品を使って清掃したりなどの手入れは、5銭札や硬貨を製造時の状態とかけ離れた状態にしてしまうため避けましょう。かえって価値を下げる場合があります。
不安な場合は余計な手入れはせずに、そのままの状態で買取業者へ持っていきましょう。
また、5銭札や硬貨を高く売るには、古銭買取に強い業者への依頼も押さえておきたいポイントです。
5銭札や硬貨は製造された年によって価値が異なり、例えば「稲五銭白銅貨」は明治36年(1903年)銘は未使用品で20万円以上の買取になる場合もあります。しかし、古銭の知識や古銭買取の経験がない業者へ依頼すると正確に判断できず、適正価格で買い取ってもらえない場合があります。
査定を依頼する際は買取業者の公式サイトや口コミをチェックして、古銭買取の実績や評判を事前に確認してから依頼しましょう。
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本記事では5銭札と5銭硬貨の特徴やそれぞれの買取相場をご紹介しました。製造年が古く発行枚数も少ない5銭札や5銭硬貨は希少価値が高く、状態のよいものは数万円で取引されるケースもあり、プレミア品と呼ばれる個体は数十万円になる場合もあります。売却を検討の方は、少しでも高く査定してもらうためにも、古銭買取に強い業者へ依頼がおすすめです。
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この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。