どのような古銭に希少価値があるのか、種類が多いために把握が難しいと悩むこともあります。
そこで本記事では希少価値のある日本の古銭と、世界の古銭についてご紹介していきます。眠っている古銭が思わぬ価値に変わることもあるため、ぜひ最後までご覧になってください。
希少価値のある古銭は、コレクターにとって価値の高いレアアイテムです。
これより、希少価値があり高い買取が期待できる古銭の各種をご紹介します。
なお、貨幣に鋳込まれた通寳の刻印は古銭の名称の通宝(つうほう)と同義になります。
天保通宝
天保(てんぽう)通宝は江戸時代に製造された大判の価値のある銭貨で、保存状態が良いものはレアとして高額で取引されます。
詳細は鋳造が天保8年8月(1837年)で、発行が天保9年6月24日(1838年)です。
重さは165.4グラムで、希少価値を生むのは1,887枚という少数枚の発行というのも関係しています。
買取においては、名称として吹増(ふきまし)大判や吹継(ふきつぎ)大判が別名称にもなっている点を覚えておきましょう。
寛永通宝
寛永(かんえい)通宝は、江戸時代初期から中期にかけて発行された古銭です。種類は全168種と膨大で、珍しいデザインや鋳造地のタイプに高値が付きます。
買取価格については、数十年から数千円、または数万円から30万円までが相場です。コレクターからは『島屋文』に30万円ほどの買取査定が付くケースがあります。
なお母銭と子銭があり、鋳造で作られていたものが希少価値のある母銭です。子銭は仕上げが粗く、母銭は文字と模様がくっきりとしているところが判別方法になるのを覚えておきましょう。
文久永宝
文久永宝(ぶんきゅうえいほう)は幕末に発行された銭貨で、短期間しか流通していなかったため希少価値が高い古銭です。
フォルムは円形、中央に正方形の穴が開けられているのが特徴的。表面は『文久永宝』の刻印が、裏面には波形模様が刻まれています。
地方貨幣を除外するなら、日本最後の銭貨なのも見落とせないポイントです。なお、総鋳造高は891,515,631枚の記録なので、希少価値があるものの買取金額で高額は期待できないといえるでしょう。
明治一分銀
明治一分銀は、一分銀の中では希少価値の高い銀貨です。明治時代の初期に発行された銀貨で、古銭市場での買取価格が高いことが注目ポイント。
一分銀には他に天保と安政がありましたが、発行枚数は明治一分銀よりも遥かに鋳造量が多かったのです。
発行枚数
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天保一分銀:約1,970万枚
安政一分銀:約2,540万枚
明治一分銀:約426万枚
ご覧のように桁が1つ少ないため、反比例するように買取市場では希少だと判定されます。買取価格として数万円は期待ができるでしょう。
なお、明治一分銀は貨幣司一分銀という名称もあります。
元禄大判
元禄(げんろく)大判は、希少価値が非常に高い大判です。鋳造開始は元禄8年(1695年)、発行されたのが31,795枚という少なさから、鑑定書ありの折り紙付きですが、1市場では超高額で取引されています。
偽物が多く出回っているため、購入側に回るのなら留意しなければなりません。つまり格安で購入して、買取に出そうとしたら買い取ってもらえないリスクもあるということです。
天保一分銀
天保(てんぽう)一分銀は、江戸時代の後期に発行された希少価値のある古銭です。発行は、天保8年11月7日(1837年)になります。
一分銀では明治一分銀を挙げましたが、先述の通りで発行枚数は多め。明治一分銀が約426万枚に対し、天保一分銀は約1,970万枚なので、流通量の多さから明治一分銀よりも買取価格は下がると考えて間違いありません。
和同開珎
和同開珎(わどうかいちん)は、日本で最初の流通貨幣です。こちらの古銭の歴史はさかのぼること、和銅元年5月11日(708年6月3日)。1000年以上も前の和銅時代であることから、確かな発行枚数については根拠が確かではありません。
そんな和同開珎には、古和同と呼ばれる銀銭と、新和同の銅銭2種類があります。表面に『和同開珎』の文字が刻まれているため、ひと目でわかるのが特性です。
明治通宝
明治通宝は、明治時代の初期に発行された政府紙幣です。金貨や銅貨への交換は保障されていなかったことから、信用紙幣とも呼ばれていました。
種類は合計9種で多くにまたがったのは、ドイツのフランクフルトでの工場で製造された背景も関係しています。
一方で日本にとって、西洋式印刷術による初の紙幣として有名な側面も。種類は100円・50円・10円・5円・2・1円ほか、半円(50銭)・20銭・10銭券までで、額面はいずれも同額です。
額面が低くなるごとに製造枚数が増えていて、10銭券は約7,200万枚(ドイツ)・約5,400万枚(国内)など、価値は下がります。
しかしドイツ製造の24,330枚の100円券、23,261枚の50円券にいたってはわずかなので、希少価値として高額査定も見込めるのではないでしょうか。
なお、古銭のオークションでは数千円から数万円、高価格帯で10万円以上の取引が見られています。
大正一円銀貨
大正一円銀貨は、1914年(大正3年)までの製造が行われていました。大正3年をあらわすように、銀貨には『大正3年』の刻印が施されています。
一円銀貨との混同もされがちですが、大型の種類もあり製造は明治の20年(1887年)までです。また明治4年の新貨条例による、対外貿易の専用銀貨として製造されたことも背景にあるでしょう。
明治20年からは大型に代わって小型が大正3年までの製造で、小型が大正一円銀貨になるのです。
なお、大判は直径38・6mm、小型(大正一円銀貨)は38.1mmと僅差。大正3年に1,150万枚の製造が記録されていますが、市場では数万円〜が相場になっています。
明治二十年貨幣
明治二十年貨幣も、希少価値が高く高額帯での買取に期待ができる古銭です。名称の通りで発行は明治二十年、先述した大正一円銀貨との比較がわかりやすいでしょう。
理由ですがまず一円銀貨の『大型』が明治20年まで、明治21年以降が『小型』の大正一円銀貨でした。
よって最終に該当する大型の明治二十年貨幣になり、プレミアがあるとして収集家から評判を得ているのです。
なお販売価格は10万円を割ることが多いものの、状態が良好ならば買取価格も納得の金額が見込めることでしょう。
希少価値のある古銭(世界)
世界の古銭も、収集家にとって希少価値の高いアイテムです。発行枚数が少ないものや特定の歴史的背景を持つ古銭など、高評価を受ける古銭をこれよりご紹介していきます。
セント・ゴールデンズ金貨
セント・ゴールデンズは、アメリカ史上で最も希少価値が高い金貨です。由来は米彫刻家の『オーガスタス・セントゴールデンズ』氏で、金貨の名称はダブル・イーグル。
AFPNewsによると、1933年のセント・ゴールデンズ金貨は、世界最高額になる約20億7000万円で落札されたのだとか。所有していたなら世界最高峰の価値があるレベルですが、あくまでもオークション水準でのもの。例えばダブル・イーグル20ドル金貨は、市場の通販で100万円を下回る価格であるためです。
そうであれば年度の古いタイプへの着目が必須で、セント・ゴールデンズには1933年以前の歴史もあります。
最古のプルーフでは『1907年のエクストラハイリリーフ レタードエッジ』は発行枚数が22枚、翌年の『1908年のRoman Finish』で発行枚数が1枚、さらなる翌年の『1909年』製だとわずか67枚です。
となると当然ながら現行価格は跳ね上がり、億に上るうえ現在は約3億円にも及んでいます。
ローマ帝国のデナリウス銀貨
ローマ帝国時代のデナリウス銀貨は、古代貨幣として希少価値を持ちます。第二次ポエニ戦争の最中で、造幣は紀元前の211年頃です。
皇帝の肖像が刻まれていて、フォルムは整った円形ではありません。当初は銀比率が高かったものの、ネロ皇帝統治の代から銀の含有率は減少。
ネロ皇帝期の94.5%から70~81年代のウェスパシアヌス皇帝の代だと90%、さらに241年代においては48%まで下がるなど、順に価値が失われる背景をたどりました。
現在の価格帯でいうと、数万円から数十万円台で販売が見られています。信頼の担保が薄いことや、偽物との区別の問題なども避けられない現況といえます。
中国の開元通宝
中国の開元通宝は、コレクターからの人気が高い貨幣です。中国の王朝・唐代における、武徳4年(621年)で初の鋳造が開始。
唐の王朝は907年までという長期の背景から、発行は多いうえに種類は16分類の273種にも及びます。
また『開元(621年』『会昌開元(845年』に分けられ、後者の方は裏面に鋳造地が刻まれているのも特徴的。
ただし、流通量が多い観点から、やはり特別なレア価値を持つということはありません。とはいえ京『京兆府=長安』といった鋳造地の刻印があるなら、買取査定に出しても良いという判定はできることでしょう。
イギリスのゴールド・ギニー
イギリスのゴールド・ギニーは、1663年から1813年まで鋳造された英国金貨です。語源はギニア産の金で製造したことからで、『ウィリアムとメリー』『ジョージ1~3世』や『チャールズ2世』があります。
メキシコのエスクード金貨
メキシコのエスクード金貨は、独立戦争時代に発行された希少価値のある貨幣です。エスクードとは通貨単位であり、市場では50ペソ金貨や8エスクード金貨に高い値が付いています。
8エスクード金貨の例だと裏面には盾が、表面にはカルロス4世の刻印があり販売価格だと40万円台に上るものも。
なお、メキシコ金貨トータルでいうと、買取価格の低い順に2ペソから50ペソまであります。50ペソ金貨だと期待値も高く望めるのでしょう。
フランスのルイ・ドール
ルイ・ドールは、ルイ13世が導入をしたフランスのプレミア金貨です。鋳造は1640年からで1792年まで発行されていました。
世界中のコレクターから人気を博していて、ルイ14世や15世の金貨は桁違いの価格が付いています。特にルイ15世のルイ・ドール金貨は発行がわずか2,183枚で、レア中のレア。
鑑定機関のNGCにおいても高い評価があり、2,000万円台の価格でもSOLD OUTをするほどです。
したがって、本物を買取に出せる稀少なシチュエーションがあるなら、超高額査定も望めることでしょう。
ドイツのターレル銀貨
ドイツのターレル(ターラー)銀貨は、16世紀から数百年にわたって発行された大型貨幣です。
ヨーロッパの広域で使われていたことと、長年におよぶ流通などから、記録的価値を生むにはいたっていません。
なお、未使用品であっても市場価格は数十万円という側面もあり、過小評価されている特徴も。
アメリカやイギリスのレア貨幣に比べると、買取価格も下がることは覚えておきましょう。
ロシアのルーブル金貨
ロシアのルーブル金貨は、帝政ロシア時代に発行されたレア貨幣です。発行は1897年から1911年と、やや年数は短め。
特にニコライ2世時代のルーブル金貨に高評価があり、歴史的背景と息を呑む美しさもポイントの1つです。
そんなニコライ2世の金貨は、5・7.5・10・15・25ルーブルの、合わせて5種類が発行済み。
とりわけ年号が古いタイプだと、高額での買取が見込めます。
オーストリアのデュカット金貨
オーストリアのデュカット(ダカット)金貨は、18世紀から19世紀にかけて発行されたレアな貨幣です。
とりわけ、マリア・テレジアの時代のものはコレクターに大人気。マリア・テレジアとは18世紀における、オーストリアの大公妃です。
市場の販売価格としては、50~100万円未満で推移しています。そのほか、裏面にはオーストリア帝国の国章が刻まれていますが、表面はフランツ・ヨーゼフ1世刻印の4ダカット金貨があるなど、歴史的背景が混じり合うのも特徴といえます。
インドのモハール金貨
インドのモハール金貨は、ムガル帝国時代に発行されたプレミア価値のある貨幣です。
人気を博すのは、ムガル帝国の第5代君主である『シャー・ジャハーン』のタイプですが、ほかにも超高額帯で取引されています。
例にするとひずみの矯正等をおこなったリストライクのプルーフ『マチュアバスト』では、販売価格が2千万以上のものでも売り切れになるほど。
なお、モハール金貨にはヴィクトリア女王刻印されているのも特徴的です。
スペインの8エスクード金貨
スペインの8エスクード金貨は、王であったフィリップ5世(在位は1700~1724年、1724~1746年)が統治をしていた際のレア貨幣です。
スペイン・カスティーリャ・イ・レオン州セゴビア県の『セゴビア』鋳造の金貨だと、販売価格が6000万円に達するほどの巨額。
オランダのギルダー銀貨
オランダのギルダー銀貨は、17世紀から19世紀にかけて発行されていました。旧通貨のギルダーを、オランダ語でフルデンといいます。
ウィレム1~3世やウィルヘルミナ女王・ユリアナ女王・ベアトリクス女王の銀貨などがあり、これらは1800~1999年までの発行です。
必見はオランダ東インド会社の時代のもので、1700年代のギルダー銀貨は高評価を受けていて販売価格は100万円クラスのタイプもあります。
よって、年数が古いタイプなら高額買取に期待ができるといえるでしょう。
古銭の希少価値の決まり方
古銭の希少価値は、さまざまな時代背景や状態によって決まるものです。これより、適切な見定めができるポイントを紹介します。
発行枚数と需要
古銭は発行枚数が少なければ少ないほど、希少価値がぐんと高くなります。コレクターからの需要も関係していて、ニーズが高ければさらに価値が上がるでしょう。
例えば1回限定の記念硬貨、市場に出回らなかった未使用品などは発行枚数が少なく、高値で取引されやすいです
また同じ名称の古銭で、100万枚単位のものと数十枚単位の貨幣なら、後者の少数が希少価値を生むことも合わせて覚えておきましょう。
保存状態
古銭の保存状態も価値を大きく影響を与えます。具体的には、表面の傷や変色が少ない方が高評価です。
続いて、未使用状態もしくは新品同様の保存状態であることも重要といえます。なお、大切に保管していた場合、鑑定済みの古銭かどうかもチェックが欠かせません。
例えば、本物を証明する2大鑑定機関の『NGC』や『PCGS』などが上記に該当します。桁違いの鑑定額になるアンティークコインなら、証明できる要素も保存状態の1つとして加点になることを認識しておきましょう。
時期
古銭は、発行時期も希少価値に大きく関わってきます。特定の歴史にまつわる古銭、10世紀以上前の時代などに該当すれば、価値が高いことは言うまでもありません。
現代では造幣局が販売するコインも見られますが、未来においての資産として考え、子・孫の世代に価値の上昇を伝え残しておくのも手の1つです。
すると、今が最新のものでも、数十年後にプレミア古銭として評価されることもあるでしょう。
まとめ
希少価値の高い古銭をご紹介してきましたが、知らなかったプレミアムの貨幣を発見できたでしょうか?
一獲千金クラスは最上級難易度ではあるものの、嬉しい臨時収入になる古銭も含まれるため、いま1度眠っている貨幣がないか再探索してみましょう。
また『まねきや』でも古銭を査定料無料で鋭意買取中につき、ぜひご依頼を検討してみてください。
この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。