日本人形は、精巧なつくりや鮮やかな色合いの着物が魅力の伝統工芸品です。芸術品や骨董品としての価値も高く、中古市場でも注目されています。
自宅に眠っている日本人形の売却をお考えの方は、高価買取の条件やどこで買い取りしてもらえるか、などを知りたいのではないでしょうか。
本記事では、日本人形の基礎知識を踏まえつつ、高価買取してもらえる日本人形の条件や買い取りの注意点、価値のある日本人形の種類について解説します。また、日本人形のおもな売却方法も紹介するので、ぜひご一読ください。
日本人形とは
日本人形とは、日本髪に和服姿の伝統的な風俗を人形にしたものの総称で、日本の伝統工芸品として長い歴史を持ちます。子どもや女性の姿のものが多く、繊細な顔の表現や鮮やかな着物、手作りの質感などが特徴的です。御所人形・雛人形・市松人形など、種類はさまざまです。
日本人形のルーツは平安時代にまで遡り、子どもの無病息災を願って作られた人形の「天児(あまがつ)」が原形ではないかといわれています。天児は子どもの枕元に置き、災厄を乗り移らせる形代として使われたそうです。
現在、日本人形は飾り物やお祝いの贈り物として使われるケースが多く、外国人観光客のお土産としても人気を集めています。また、コレクターズアイテムとして、芸術品や骨董品のコレクターからの需要も高めです。
高価買取してもらえる日本人形とは?
すべての日本人形が、高く売れるわけではありません。買取業者が注目する高価買取の条件は、以下のようなものが挙げられます。
- 有名作家や人間国宝が手掛けたもの
- 江戸時代以前のもの
- 付属品がセットのもの
- 入手経路が明確なもの
- 状態が良いもの
ここでは、それぞれを詳しく解説していきます。
1.有名作家や人間国宝が手掛けたもの
歴史に残る有名作家や人間国宝が手掛けた日本人形は、高価買取が期待できます。特に、人間国宝の手掛けた作品は、公に芸術的な価値が保証されているため、想像以上の高値になるケースも珍しくありません。
逆に無名作家の作品は、買い取りしてもらえない可能性が高いでしょう。日本人形の買取査定において「誰が手掛けたか」は大変重要です。そのため、有名作家の名を騙った贋作(偽物)も買取対象にはなりません。
しかし、精巧に作られた贋作と真作(本物)は、素人が見極めるのは困難です。作家名がわからない場合は、専門知識のある買取業者や鑑定士に相談してみましょう。
2.江戸時代以前のもの
江戸時代以前につくられた日本人形は、歴史的価値が非常に高く、高額で取引される傾向です。現存数が少ないことや、貴重な素材が使われていることも理由でしょう。
基本的に時代が古いほど希少性が高くなり、査定額も比例して高額になります。また、多少の傷みや汚れがあっても、古い時代の作品は買い取りしてもらえる可能性が高いので、まずは査定依頼をしてみましょう。
3.付属品がセットのもの
高価買取してもらうには、以下のような付属品がそろっているかも重要です。
- 共箱(外箱)
- 人形の飾り台
- 着替えの衣装
- 由来書
人形本体と付属品がセットでそろっていると、買取価格が上がる可能性があります。特に共箱や由来書は、作家名や時期が明記されているケースも多く、真贋や歴史的価値を判断する材料になるため、大切に保管しておきたいところです。
付属品がなくても買取対象にはなりますが、買取価格が下がる可能性があります。
4.入手経路が明確なもの
日本人形の査定には、信頼できる情報が必要不可欠です。「いつ、誰から手に入れたのか」「どのような流通経路で、いくらで購入したか」などの情報がわかるだけでも、査定結果が有利になるかもしれません。
また、作家名や製作時期がわからない作品でも、入手経路が明らかになっていると査定してもらえる場合があります。もし入手経路がわからない場合は、家族や親戚に確認してみましょう。
5.状態が良いもの
日本人形の状態は、査定に大きく影響します。保存状態が良いほど高価がつきやすいので、日頃から保存方法には気をつけてください。
保存状態が良いと判断される条件は、以下になります。
- 汚れや破損がない
- 色あせが少ない
- 着物のほつれがない
- 修繕・修復の形跡がない
特に、顔や手足など繊細な部分が損なわれていないことが重要です。お手入れや移動の際は十分注意しましょう。また、人形本体の状態が良好でも、共箱や飾り台などの状態が悪いと、買取価格が下がりやすくなります。
日本人形を買い取りしてもらう際の注意点
日本人形の買い取りをしてもらう際は、以下の点に注意する必要があります。
- 破損していても無理に直さない
- 日当たりの良い場所に保存しておかない
日頃から取り扱いや保存方法に気を配ることで、日本人形の価値を維持することができます。
1.破損していても無理に直さない
日本人形が破損している場合、無理に自分で修繕・修復しようとせず、まずは専門の業者に相談することが大切です。知識・技術を持たない素人が無理に直そうとすると、かえって状態を悪化させてしまう可能性もあります。
破損を直さないまま査定に出すことはもどかしいかもしれませんが、安易な修繕・修復によって価値が下がるケースもあるため、買い取りを依頼する前に専門家の意見を聞くのが賢明です。有名作家が製作した作品や江戸時代以前の古い作品であれば、破損によるマイナス評価分が減額されたとしても、納得のいく高値で買い取りしてもらえるでしょう。
また、日本人形のお手入れを行なう場合、付着したホコリやゴミを軽く払うくらいの掃除で十分です。念入りに掃除すると、誤って人形を破損させてしまう可能性もあります。
2.日当たりの良い場所に保存しておかない
日本人形は、直射日光の当たらない場所に保存しましょう。日当たりの良い場所に置いておくと、劣化により顔や衣装にダメージが生じて、価値が下がってしまう可能性があります。
たとえ透明ケースに入っていたとしても、日光の影響は避けられません。どうしても日当たりの良い場所に飾る場合は、カーテンやブラインドで日光を遮りましょう。
また、湿度が高い場所での保存も避けたいところです。湿気はカビが発生する原因になるため、なるべく風通しの良い乾燥した場所を選びましょう。
価値のある日本人形一覧
日本人形の価値は、作られた時代や作り手の技術によって変わります。コレクターや買取業者から特に高い評価を受けている日本人形は、以下の8種類です。
- 御所人形
- 雛人形
- 市松人形
- 五月人形
- 博多人形
- 木目込み人形
- 奈良人形
- こけし人形
それぞれの特徴や価値をまとめたので、あらかじめ把握しておきましょう。
1.御所人形
御所人形は、江戸時代から続く伝統的な日本人形です。宮中の慶事(出産・結婚など)を祝うための飾り物、あるいは宮中に参内した公家や大名家へ下賜されていました。
三頭身で透き通るような白い肌が特徴です。稚児を写したふくよかな顔立ちや手足、愛らしくも凛とした表情には、子どもの健やかな成長を祈る人々の願いが込められています。
また、御所人形は観賞用に作られているため、豪華な衣装を着せていることも特徴的です。衣装は着せ替えることもできるので、同じ人形でも異なる雰囲気を楽しめるようになっています。
身分の高い人々に親しまれていた御所人形は、数ある日本人形において、最も格式高いといわれています。芸術的にも評価されており、有名作家の人形は高額買取も期待できます。
2.雛人形
ひな祭りの際に飾られる雛人形は、日本人形における代表格の一つです。女の子の誕生を祝うとともに、子どもの健康と幸福を願う伝統文化の象徴として、今なお高く評価されています。
雛人形は親王飾り・三段飾り・七段飾り・立ち雛など種類が豊富であり、それぞれ人形の数や並びが異なることが特徴です。例えば、親王飾りは男雛と女雛の2体のみですが、七段飾りなら合計15体もの雛人形が飾られることになります。
また、雛人形本体のデザインもバリエーションが豊富です。時代や地域によって顔立ちや衣装が異なり、コレクターからの需要も多岐にわたります。なかでも高価買取が期待できる雛人形は、有名作家が手掛けたものや古い時代に作られたものです。
3.市松人形
市松人形とは、5~6歳くらいの子どもを模した可愛らしいデザインが人気の日本人形です。江戸時代に活躍した歌舞伎役者「佐野川市松」の顔に似せて作られたことから、この名がついたといわれています。
市松人形はいわゆる着せ替え人形の一種であり、女の子の人形は黒髪・おかっぱ頭で着物を着ていること、男の子の人形は頭髪が筆書きで羽織や袴を着ていることが特徴です。元々は子ども用の玩具として使われていましたが、時代の流れとともに芸術品や贈答品としての役割も担うようになりました。
市松人形も作者や保存状態によって価値が大きく変動しますが、特に江戸時代に製作されたものは希少価値が高いので、高値がつきやすい傾向にあります。
4.五月人形
五月人形とは、端午の節句の際に飾られる武者を模した日本人形です。男の子の誕生を祝いつつ、子どもの健やかな成長を願って飾るという伝統文化が背景にあるため、雛人形と同じく今でも高く評価されています。
五月人形の特徴といえば、迫力ある仕上がりの鎧飾りや兜飾りです。歴史上の有名武将の甲冑を模して製作された作品も多く、高い人気を誇ります。
立派な鎧飾りや兜飾りをまとった五月人形は、その芸術性の高さや歴史的背景から高額で取引されるケースも多々あります。
5.博多人形
博多人形とは、福岡県の博多で製作されてきた伝統工芸品です。1600年頃、福岡県一帯を治めていた戦国武将・黒田長政が福岡城を築城した際、献上品として納められた素焼きの土人形がルーツとされています。
素焼きの土人形とは思えない色鮮やかな彩色と美しい曲線美、土人形ならではの優しい風合い・質感が特徴です。美人もの・節句もの・歌舞伎もの・童ものなど、バリエーションにも富んでいます。
特に高度な技術が使われた作品や有名作家が手掛けた作品は、買取価格も高くなりやすいので要チェックです。
6.木目込み人形
木目込み人形とは、江戸時代につくられてから300年近い歴史のある日本人形です。手のひらサイズの小ぶりな人形が多く、丸みのある可愛らしいデザインに仕上がっています。
「桐塑(とうそ)」に溝を作り、その溝に織物をきめ込んで衣装のように着せていることが特徴です。伝統的な技法で製作されたものは、特に高い価値があります。
7.奈良人形
奈良人形とは、その名が示すように奈良を代表する日本人形です。木彫りの技法「一刀彫」で彫り上げていることから、別称「奈良一刀彫」とも呼ばれています。
力強い造形と繊細かつ色鮮やかな彩色が特徴であり、雛人形や干支人形など種類も豊富です。奈良人形も古い時代に作られたものは、非常に高額で取引されるケースもあります。
8.こけし人形
こけし人形とは、東北地方を中心に製作されている木製の日本人形です。地域によって表情や模様に違いがありますが、総称として「伝統こけし」と呼ばれています。
シンプルかつ素朴なデザインが特徴であり、顔や着物はすべて筆書きで描かれています。特に年代物や希少なデザインのこけし人形は、コレクターの間で高値がつきやすいでしょう。
日本人形はどこで買い取りしてもらえる?
日本人形を売却する場合、以下のような方法があります。
- 買取業者
- リサイクルショップ
- ネットオークション/フリマアプリ
適切な場所で売却することで、高価買取が期待できます。売却方法ごとに概要や注意点を解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.買取業者
日本人形専門の買取業者に依頼すれば、適切な鑑定が行なわれるので、高価買取が期待できます。特に希少性が高い人形や状態の良い人形を売却する場合、専門知識を持った業者に査定を依頼することで、納得のいく買取価格を提示してもらえるでしょう。
信頼できる買取業者を選ぶためには、事前にホームページなどで買取実績やお客様レビューをチェックすることが大切です。また、複数の業者から相見積もりをとり、比較検討することも重要となります。
2.リサイクルショップ
より手軽に日本人形を売却したい場合、最寄りのリサイクルショップで買取してもらう方法もあります。しかし、専門知識を持った買取業者に比べて買取価格が低くなりやすいため、価値が高そうなものは買取業者で査定してもらうほうがよいでしょう。
また、リサイクルショップによっては買取自体を断られるケースもあります。
3.ネットオークション/フリマアプリ
ネットオークションやフリマアプリを活用すれば、自分で日本人形を売却することも可能です。買い手との個人間取引(直接取引)ができるので、やり方によっては高値で売却できる可能性もありますが、逆に安値で買い叩かれる可能性もあります。
また、個人間取引はトラブルも起こりやすいため、慎重な対応が必要です。
日本人形の買取ならまねきや
日本人形は専門知識がないと価値を正しく見極められないので、売却する際は専門の買取業者への依頼がベストアンサーといえます。
日本人形の高価買取なら、高価買取専門店「まねきや」へお越しください。まねきやでは、豊富なノウハウを持つ鑑定士が在籍しており、丁寧かつ公正な査定を行なっています。
日本人形の状態や希少性を踏まえ、適正な査定額をご提示いたします。ぜひ一度ご相談ください。
この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。