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天保通宝の価値はどれくらい?種類別の買取相場を紹介!

2024.11.29

天保通宝(てんぽうつうほう)は、江戸時代から明治時代のはじめまで使用された古銭で、同じく江戸時代の古銭である寛永通宝(かんえいつうほう)と並び、コレクターから高い人気を得ています。幕府が公的に製造していたものから、各藩で密かに鋳造された地方密鋳銭まで、さまざまな種類が存在し、それに応じて買取相場も異なります。

その歴史的背景や独特の形状から、特定の種類には高い価値が付くこともある注目の古銭です。

そこで今回は、天保通宝の種類や特徴、買取相場を詳しくご紹介します。

天保通宝とは

天保通宝は、江戸時代の天保6年(1835年)に鋳造が開始され、1869年まで発行された日本の貨幣です。当時の幕府が財政難を解消するために発行した銭貨でしたが、1891年(明治24年)に公式に通用禁止となりました。ただし、その後もしばらく流通していたことから、天保銭(てんぽうせん)とも呼ばれることもありました。

天保通宝のおもな素材は銅ですが、錫や鉛なども含まれており、重さが約20.6グラム、大きさは縦が49mm、横が32mm程度です。小判を模した楕円形で、中央に正方形の穴が開いています。

天保通宝の表面には「天保通寳」(天保通宝)、裏面には「當百」(当百)と花押が刻まれています。当百とは100文を意味しますが、実際には80文ほどで流通していたようです。

さらに、天保通宝の質量(重さや材料の価値)は実際には80文にも満たなかったため、実際の価値よりも高く評価された状態で使用されたことで経済は混乱し、偽造品が多数出たことも特徴といえます。

天保通宝には「公鋳銭」と「地方密鋳銭」がある

天保通宝の製造は基本的に、当時の江戸幕府の専売事業でした。幕府製造のものはいわゆる公式なお金であり、「公鋳銭」と呼ばれます。それに対し、地方の藩が自分たちで製造した天保通宝が「地方密鋳銭」です。多くの場合は幕府の許可がないまま密かに製造しており、先述した偽造品に該当します。

公鋳銭は、さらに4つのタイプに分けられます。一方で地方密鋳銭は、鋳造した藩の違いのほか、書体や中央の穴の形などによってさまざまな名称が付けられています。同じ天保通宝でありながら、藩によって品質や見た目などが異なるのが特徴です。

幕府公式の天保通宝は多くの人に利用されました。反対に、地方密鋳銭の流通は多くはなく、そのため公鋳銭に比べて希少性が高いといえます。現在の古銭市場における価値も、地方密鋳銭のほうが高い傾向があります。

天保通宝には「母銭」と「通用銭」がある

天保通宝の種類とは別に、現在での価値を左右する型の違いに、「通用銭」と「母銭」があります。通用銭は、文字のとおり流通用のお金として製造されました。この通用銭を鋳るために用いた型が母銭です。また、母銭を使って作られた通用銭は、母銭に対して子銭とも呼ばれます。

通用銭(子銭)は量産されますが、ひな型となる母銭は少量あればこと足りるため、現存数が少ないのが特徴です。その分希少性が上がり、通用銭に比べて母銭のほうが高値で取引される傾向にあります。

母銭と通用銭(子銭)の見分け方はいくつかあります。まず、子銭のみにある側面の刻印は、わかりやすい識別ポイントです。また、鋳物である子銭は固まる際に収縮して少し小さくなるため、母銭のほうが若干大きいのもポイントです。さらに、繰り返し使われる母銭は頑丈な必要があるため、子銭よりも品質の良い銅が使用されているケースが多くあります。

公鋳銭の価値一覧

幕府が公式に鋳造していた公鋳銭には、次の4種類があります。

  1. 本座長郭
  2. 本座広郭
  3. 本座細郭
  4. 本座中郭

全種類に共通している「本座」は、幕府の公式な銭であることを示しています。また、末尾の「郭」は、中央にある穴の形の違いを示しています。種類によって鋳造された年代がわかるほか、買取価格が変化するのもポイントです。

各公鋳銭の特徴や、取引価格の傾向を解説します。

1.本座長郭

1835年(天保6年)に幕府が公式に鋳造した天保通宝の一つが、本座長郭です。中央の穴が縦長であることが最大の特徴で、4種類のなかで一番流通量が多かったとされています。また、表面に刻まれた「天保通寶」の「天」の字が右寄りであることも識別のポイントです。

古銭市場における相場は数百円程度と、ほかの天保通宝に比べて比較的安価で取引されています。しかし、保存状態が良いものは市場でも高値となるケースがあるほか、母銭の場合は価値が大幅に上がり、5~8万円程度になることもあります。

本座長郭は、天保通宝のなかでも比較的流通量が多いものではありますが、初期に鋳造されたため、コレクターの間で人気があります。

2.本座広郭

本座広郭は、1845年(弘化2年)に幕府が鋳造した天保通宝の一つです。特徴として、中央に空けられた穴が他種よりも広く太く縁取られている点が挙げられます。文字の配置は本座長郭と共通しており、「天」の字が右寄りで、「通」の「用」と、「寶」の「貝」部分が細いのが特徴です。

古銭市場での取引価格は100円未満の場合もあり、ほかの天保通宝と比較するとやや低い評価を受けています。しかし、状態の良いものは500円前後、未使用品となると数千円で取引されるケースもあります。また、母銭であれば3~5万円の高値が期待されます。

3.本座細郭

本座細郭も初期に製造された天保通宝で、製造年は1835年(天保6年)とされています。中央に空いた穴はほぼ真四角で、縁が細い点が特徴です。また、刻まれた「通」の「甬」部分と「寶」の「貝」部分が、ほかの種類に比べて横長になっています。

現在の市場では数百円程度で取引されるケースが多数です。保存状態が良ければ価値が上がり、未使用品だと1,000円前後の値が付くケースもあります。また、型となる母銭の場合は希少価値が高く、10万円以上の高値で取引されることもあります。

本座細郭の製造時期は本座長郭と同じですが、本座細郭のほうが、希少性がより高い古銭です。

4.本座中郭

本座中郭は、1866年(慶應2年)に幕府が鋳造した天保通宝です。中心にある穴の縁の太さなどは、本座広郭と本座細郭の中間的なデザインをしています。

天保通宝のなかでは最も新しい時期に鋳造されたもので、希少性が高く、古銭市場では数千円で取引されることもあります。特に状態の良い未使用品などは1万円以上になることもあり、公鋳銭の4種類のなかでは最も価値が高いとされています。

また、母銭がまだ発見されていないことも大きな特徴です。もし発見されれば、非常に高値で取引される可能性があります。

価値のある天保通宝の「地方密鋳銭」一覧

地方密鋳銭は、幕府公式である公鋳銭よりも多くの種類が存在します。地方密鋳銭を作成した藩は10以上で、出所のわからない不知銭(ふちせん)と呼ばれる銭も存在します。しかし、一つひとつの流通量が少ないため、公鋳銭よりも希少性があり、高値になりやすいのが特徴です。

なかでも高値での取引が期待できるのが、次の4種類です。

  1. 薩摩藩鋳銭
  2. 高知藩鋳銭
  3. 水戸藩鋳銭
  4. 秋田藩鋳銭

そのほかの価値がつきやすいものを含め、ここでは9種類の地方密鋳銭を紹介します。

1.薩摩藩鋳銭

薩摩藩鋳銭は、薩摩藩によって未認可で鋳造されました。「薩摩広郭」などいくつかのパターンがあります。

中央の穴が広く縁取られているのが特徴で、幕府が発行した本座広郭と類似しています。「通」のしんにょう部分が角度をつけて伸びている点などが、本座広郭と区別するポイントです。

また、薩摩藩で鋳造した天保通宝には「薩摩藩横郭仰冠當(さつまはんおうかくぎょうかんとう)」と呼ばれる種類もあり、こちらは「がま口」と呼ばれる横長の穴が特徴です。加えて、裏面の「當百」のワ冠が、少し右に下がっています。

薩摩藩鋳銭は、その仕上がりの良さと希少価値から、コレクターの間で高く評価されています。古銭市場では数千円の相場で取引されるケースが多数です。

2.高知藩鋳銭

高知藩鋳銭は、密かに高知藩で鋳造された天保通宝の一種です。別名、「高知額輪短尾通」でも知られています。刻印された文字よりも周囲の縁が高くなっている「額輪」と呼ばれるデザインが大きな特色です。「短尾通」は「通」の文字のしんにょう部分が短くなっていることを意味しています。

さらに、中心にある穴は真四角ではなく、やや歪んだ形状が多く見られることも、高知藩鋳銭の特徴です。現在の市場での取引価格は500円程度が一般的で、状態によっては2,0008,000円ほどで取引されることもあります。比較的人気のある地方密鋳銭といえます。

3.萩藩鋳銭

萩藩鋳銭は、長州藩で密かに製造された天保通宝です。藩庁が萩城に置かれていたことから萩藩鋳銭と呼ばれています。

萩藩鋳銭で有名なタイプは、「山口方字」「山口大字平通」「山口曳尾」などです。「山口方字」は、中心の四角い穴がくっきりしているのが特徴です。次の「山口大字平通」は、フォントサイズが大きく「通」の字が上下に狭く刻まれています。「山口曳尾」は、「通」のしんにょうが長めで、最後に跳ね上がっているのが特色です。

萩藩鋳銭の通用銭はそもそも製造数が少ないため、現在の流通量も限られています。そのため希少性がとても高く、市場では数千円から数万円で取引されることが多くなっています。

4.水戸藩鋳銭

地方密鋳銭は偽造銭と紹介しましたが、実は水戸藩鋳銭だけは異なります。なぜなら、水戸藩鋳銭は地方密鋳銭のなかで唯一、江戸幕府から正式な許可を受けて水戸藩が鋳造していたからです。

水戸藩鋳銭には多くの種類がありますが、なかでも特に人気があるのが、「短足寳」と呼ばれるものです。「寶」の下の部分が短く丸みを帯びたデザインが特徴です。この種類は、古銭市場において数千円で取引されることもあり、状態が良ければさらに高額になります。

ほかにも「濶字退寳」という種類があり、こちらは「寶」の文字が右に寄っている点が特徴です。さらに、「大字」と呼ばれる、文字が大きいものも存在しています。こちらは希少性の高さが特徴です。

水戸藩で鋳造された天保通宝は、幕府公認だったこともあり品質が良く、種類によっては鋳造量も少なく価値が高いとされています。特に、鑑定書付きで状態の良いものは高く評価されます。

5.秋田藩鋳銭

秋田藩が作り出した秋田藩鋳銭は、天保通宝のなかでも特に赤みの強い銅色が特徴です。この鋳銭には、「秋田長郭」、「秋田広郭」、「秋田細郭」という3つのタイプが存在します。

秋田長郭は、中心の穴の形状が縦に長く、名前が示すとおり縦長のデザインが特徴です。細長く文字が刻印され、裏側には大きな花押がくっきりと彫られています。

秋田広郭は、文字デザインや花押は長郭に似ていますが、真ん中の広い穴の形状が特徴です。また、秋田細郭は中心の穴の縁取りが細く、銅の色に幅広いバリエーションが見られます。

秋田藩の天保通宝はコレクターからの人気が高く、他藩で作られたものと比べて高値で取引されるケースが大多数です。買取相場は数千円から数万円ですが、なかでも秋田細郭は高価で取引されることがしばしばあります。

6.会津長貝寶

会津長貝寶は、会津藩が密かに鋳造した天保通宝の一種で、特徴的なのは「寶」の文字の下部にある「貝」の部分が長く刻まれていることです。この貝の形状から「長貝」と呼ばれています。

長貝寶に対して、貝の部分が短く見える「短貝寶」という種類も、会津藩鋳銭に存在します。会津藩が作った鋳銭は、銅の色合いが赤や黄色がかったり、表面に小さなボツボツがあったりするのが特徴です。

現在の中古市場における長貝寶の評価は高く、数万円から10万円を超えるものまであります。会津藩の密鋳銭のなかでは高値が付きやすいといえるでしょう。鋳造数自体が少ないため、収集家にとって特に希少価値のある天保通宝とされています。

7.福岡藩鋳銭

福岡藩鋳銭は、福岡藩が密かに鋳造した天保通宝の一種です。真ん中に空いた穴が他種よりも小さいために、結果的に文字が穴から離れているように見える「離郭」が特徴です。そのため「福岡離郭」とも呼ばれます。

また、「百」の字の下部が細くすぼんでいるのも特徴です。このデザインはかなり珍しく、福岡藩鋳銭かどうかを見分けるポイントになります。

現在の中古市場における取引価格は、保存状態が良好だと数万円程度になる場合もあります。鋳造数・現存数とも少ないため希少性があり、市場で高値が付きやすい地方密鋳銭の一つです。

8.南部小字

南部小字は、南部藩が密かに作った天保通宝の一種です。現存数が限られ、希少価値がとても高い地方密鋳銭として知られます。

南部小字の特徴は、全体に描かれている文字が小さい点です。ちなみに、南部藩で作られたもののなかには、反対に字の大きさが特徴の「南部大字」などもあります。

南部小字はその希少性の高さから高値で取引されており、数十万円に達するケースもあります。コレクターにとっても非常に希少で、入手が難しい天保通宝です。

9.岡 痩通

岡痩通は、大分県竹田市にあった岡藩が鋳造していた天保通宝です。全体的に文字が細いことが特徴で、特に「通」の字が細いことから「痩通」と呼ばれました。また、本座とほとんど遜色のないデザインであることも特徴の一つです。

岡痩通は、地方密鋳銭のなかであまり知られていません。そのため、公鋳銭より希少性が高い地方密鋳銭ではあるものの、コレクターの需要が少なく、ほかの地方密鋳銭よりも安く取引されるケースが多くみられます。取引相場は数千円程度です。

天保通宝を高価買取してもらうコツ

天保通宝を高価買取してもらうためにまず重要なことは、保存状態を良好に保つことです。劣化や破損が少なく、オリジナルの状態に近いものほど、高値で取引されます。専用ケースに入れ、高温多湿を避けるなど、適切に保管しましょう。美しい状態にしようと磨いたり洗浄したりすると、かえって傷が付いてしまい価値が下がる場合があるので、優しくほこりを拭くだけに留めるのが賢明です。

また、鑑定書がある場合は一緒に提出すると、買取業者からの信頼が得やすくなります。反対に、鑑定書がない場合は、買取を拒否される場合もあるため注意しましょう。査定額は業者によって異なるため、より高値で売却するためには複数の業者に査定を依頼することをおすすめします。無料査定を行なっている業者を選ぶとよいでしょう。

古銭の買取に関する専門的な知識をきちんと持っている業者を選ぶことも大切です。例えば、母銭か子銭かを正しく見極められる専門業者は、適正な買取価格を提示してくれます。

天保通宝の買取ならまねきや

天保通宝を売却する際は、古銭について専門的なノウハウと豊富な実績を持つ「まねきや」に相談するのがおすすめです。まねきやでは、経験豊富なプロの鑑定士が一つひとつ丁寧に査定し、その価値を正確に判断しています。

まねきやは、高価買取と利便性も魅力です。

1.より高値での買取

まねきやは、古銭市場の傾向を把握したうえで、天保通宝の種類や状態に応じて適正かつ高い買取価格を提示しています。ほかの業者と比較しても納得できる価格を示しており、多くの顧客から高評価を得ていますので、安心して利用できます。

2.LINEを利用した簡単査定

店舗や出張、宅配による査定のほか、LINEを使った査定も可能です。天保通宝の写真を撮り、LINEで送信するだけで、迅速に査定結果が届きますので、面倒な手続きは不要です。古銭は種類が豊富で、さまざまな要因で買取価格が変わります。専門知識がないとその価値を正しく判断するのは難しいため、売却を考える際は専門知識を持ったスタッフがいるまねきやに相談することをおすすめします。

この記事の監修者

水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長

高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士

今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。 「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。