アクセサリーや仏具をはじめ、金は日常的に身に付ける品物から歴史的な美術品まで、幅広いものに使用されています。ほとんどの金製品には目立たない位置に含有量を示す数字が刻まれており、それにより純度を判別可能です。ただし、製品によっては刻印が入っていない金も存在します。
また、刻印があっても経年劣化や傷が原因で純度が判別できない場合もあります。
「売りたい製品があるけれど本物かわからない」
「刻印が消えてしまったアクセサリーも売却できる?」
このような悩みに対して、この記事では表記がない金製品を正しく見分ける方法を紹介します。自宅でできる古典的な方法だけでなく、専門の店でのX線を使った見分け方も紹介するので、ぜひ最後までチェックしてください。
刻印のない金の買取価格も解説するので、売却を検討している方も参考にしてみてください。
刻印以外の金の見分け方
金製品に刻印が見つからない場合でも、次のようにさまざまな判断手段が存在します。
- 色合いを観察する
- 音を確認する
- 密度測定
- 磁石にくっつくか
- 酸テスト
- セラミックプレートテスト
- XRF(蛍光X線分析)
- 重さを確認する
- 火のテスト
自力で試せる方法は気軽に実行できる一方、結果の正確性は低くなりがちです。一方プロに依頼すれば持ち込む手間がかかる代わりに、金がどれほど含まれるかほとんど正確に測定できます。
記事を最後まで読まずに自力でチェックをはじめると、表面を汚したり傷つけたりして価値を下げかねません。いずれ売却を考えているのであれば、できるだけ傷つけない方法を慎重に選びましょう。
1.色合いを観察する
金は純度や混ざっている金属の種類によって見た目が異なるため、色合いは金の純度を判断できるポイントの一つです。金メッキは長年使用すると表面のメッキが少しずつ剥がれて、中の素材が見えてしまいます。しかし純度が高いと、表面が削れても内部は表面と同じ金色です。
また純度が高いものほどオレンジがかった見た目をしており、逆に純度が低いと黄色に見える傾向があります。純度が高い金はそのオレンジがかった見た目から、古くから「山吹色(やまぶきいろ)」と表現されてきました。まずは光にあてて、黄色っぽいかオレンジがかっているかをチェックしましょう。純金は光を当てると赤っぽく見えると同時に、鈍い輝きを放ちます。
ギラギラとした強い光を放ったりテカリが強かったりする場合は、偽物のリスクがあります。以下を参考に、まずは表面の輝きから金の真贋や純度をチェックしてみましょう。
純度が高い |
メッキなどの偽物に多い |
色:山吹色(オレンジに程近い黄色) |
色:明るい黄色でオレンジや赤みが少ない |
ただし、近年は風合いや色も限りなく本物に寄せて作られた精巧な偽物も存在します。普段から金に触れている専門家でなければ、見た目で正しく判断するのは困難です。
2.音を確認する
金を叩いたときに独特の音が鳴るかを確かめるのも、有効な判断基準の一つです。金を叩いてみると「キーン」と高音が響く独特の音を発します。鳴った高音が響くように長く続くのも特徴の一つです。
一方、鉄やチタン、真鍮は鈍く低い音が出たり、音が長く続かずすぐに途切れたりします。これは金属の種類により、密度が異なる性質が関係しています。数ある金属の中でも金は密度が高いため、叩いた時に澄んだ音が響く物体です。きれいに音が響く様子は純度が高いほど続きやすく、他の成分が使われていると、複数の音が混ざり合ったような印象になります。
だからこそ音で判断する際は、金属や木の棒で軽く、弾くように叩きましょう。強く叩くと表面が凹んだり削れたりするため、力を入れず弾くイメージで叩いてください。
ただし、音での判断も確実な判別法とはいえません。あくまで専門の業者に査定してもらう前の参考程度にとどめておきましょう。
3.密度測定
金は比重が高い種類であるため、比重検査によってそのおおよその純度を判断できます。
比重とは水に沈めたときに増える物質の体積の割合で、水の密度と物質の密度を比べてどれほど重いかを比較した数値です。
基準である水の比重「1」よりも高い数字であれば密度が大きく、低い数字であれば密度が小さいとわかります。
金は含有量により比重が変わるため、比重の数値を計測できればおおよその純度も判明します。金の純度と比重の対応関係は以下のとおりです。
金純度 |
比重 |
K24:99.99%含有(純金) |
約19.32 |
K18:75%含有 |
約15.6 |
K14:58.3%含有 |
約13.2 |
K10:41.7%含有 |
約11.3 |
比重の計測方法は「重量÷体積」の計算式でわかります。
次の手順で測定できます。1グラム以下の小数点第一位や第二位まで表示される重量計(はかり)と容器と糸、糸を固定するクリップを準備して以下のステップで計測しましょう。
- 金を容器に入れて重さを量る(製品の重量)
- 水を入れたクリップ付きの容器を乗せた状態で重量計に載せ、値を0設定する(水+クリップの重量)
- 製品に糸をくくり付けてコップの中に垂らしたらクリップで容器のフチに糸を固定する
- 糸で吊るした状態のまま金製品を水の中に入れて重さを量る(体積)
- 金の重量を、金製品を水の中に入れた時の値で割る
たとえば製品が150グラム(ステップ1の表示値)で、体積が10立方メートル(10グラム)(ステップ4の表示値)であれば、「150÷10=15」でK18の約15.6に近い比重であるため18金に近いと判断できます。
ほかの素材が多く含有されていると、上記の表で紹介した比重とは数字が離れるため、金以外が中心だとわかります。
ただし古典的な測定方法である以上、正確性はそこまで高くありません。正しく測定するには、買取店にある比重計の利用がおすすめです。
また、水に浸けると汚れや黒ずみなどの品質劣化のリスクがある点には留意しておきましょう。中には水に弱いレザーなどほかの素材や宝石を組み合わせた製品もあるため、その場合はこの方法は控えるのが無難です。
4.磁石にくっつくか
金は磁石に吸いつかない性質があるため、磁石にくっつけばすぐに偽物と判別できます。金を汚損させるリスクも低いため、偽物かどうかチェックするにはおすすめの方法です。
金は肉眼では見えない小さな磁石である「分子磁石」をほとんど含まないため、磁石の影響を受けません。
一方、たとえば鉄には不規則に並んだ分子磁石が多く含まれています。そのため磁力の強い磁石を近づけると、同じ方向へ一斉に分子磁石がそろって磁石に吸いつきます。
ただし、合金の場合は本物を使用していても磁石に反応する場合があります。なぜなら合金にはいろいろな磁石に反応する金属が含まれているためです。また、使用する磁石の磁力が弱ければ偽物でもほとんど反応しない点には留意しておきましょう。
磁石に反応した場合も偽物と断定せず、買取業者にくわしく調べてもらうのがおすすめです。精密な判断によって、合金か偽物かを正しく判断できます。
5.酸テスト
(先に結論を述べておくと、個人でこの方法を試すのはおすすめしません。正しい薬物の取り扱いができなければ、重大な事故につながる恐れがあるためです。あくまで参考程度にとどめてください。)
硝酸(しょうさん)を製品に垂らし、ほとんど溶けなければ純度が高い金の可能性があります。硝酸とは強い酸性の化学物質で、金属を溶かす性質を持っています。
硝酸は硬い金属の表面を溶かして、細かく形状を変形するエッチングにも使われる成分です。
金であれば、硝酸を垂らした部分が変色せず削れた痕が残ります。硝酸によって緑に変色したり表面が削れたりすれば、鉄、銅、ニッケルなどの金属が内部に使われている偽物です。
特にメッキなど表面のみで加工された偽物は、硝酸で黒く変色するためすぐに偽物とわかります。
6.セラミックプレートテスト
セラミックプレートテストは、セラミック製の皿などに製品の表面をこすって色で判断する方法です。セラミックとは食器類に多く使われる素材で、平らなセラミックの食器皿があれば自宅でも検査できます。
方法は書道のすずりのように、セラミックプレートに製品の表面を何度かこするだけです。セラミックプレートのこすった部分に、金色の線が残れば純度が高いと判断できます。メッキ、金張りの表面を加工した偽物の場合、黒や灰色の線が残ります。
比較的手軽に試せますが、傷により価値が下がるため基本的にはNGな判定方法です。傷つけない方法として、X線分析をはじめプロによる安全な鑑定を選びましょう。
7.XRF(蛍光X線分析)
XRF機器は蛍光X線を対象物に照射して、金属の割合を測定できる機械であり、専門的な金の鑑定にも使われています。金の元素である「Au」の割合が高ければ、それだけ純度が高い金製品だと判明します。それ以外の銀や銅、ニッケルを含んでいれば、純金ではなくK18やK14のほかの金属を含む合金だとわかります。
分析にかかる時間はわずか数秒で元素の種類や量が正確にわかるうえ、従来の比重計と違って水に沈める必要もありません。
ただしXRFは400万円以上と高価な測定器で、買取業者によっては導入されていません。刻印なしの金製品の価値を正確に見極めたいのならば、X線分析機器を所有している買取業者に査定を依頼しましょう。
8.重さを確認する
金は金張りやメッキよりも質量があり、手に乗せるとずっしりとした感覚がある金属です。一方、金張りやメッキは別の金属に金を薄く伸ばして加工しているため純金よりも軽く、手に乗せても不自然に軽い感覚があります。
- 純金:手のひらに乗る大きさでもずっしりとした重さを感じる
- 金張り:メッキより厚めに金を貼っている分重いものの純金より軽い
- メッキ:純金や金張りよりも軽量
金張りはメッキよりも厚めに金を貼り付ける分、やや重さを感じますが純金と比べると軽い金属です。ただしK18など純金よりも純度が低いと重さの感覚だけで、メッキや金張りを正確に見分けられません。特に指輪やピアスなどの小ぶりなアクセサリーほど重さを感じにくいため、他の見分け方も一緒に実践しましょう。
9.火のテスト
火のテストは金製品を火で炙って、溶け出す温度で金かそれ以外の金属か判断する方法です。
純金が溶け出す融点は1,064度ですが、鉛は327.5度、アルミニウムは660度と低温で溶ける金属です。粗悪な金メッキや金の塗装品であれば、家庭のコンロの火でも溶ける可能性があります。
しかし高温で炙るテストは火傷のリスクがあり、家庭で実践するには危険です。また火を当てた部分が変色や変形すれば、金製品の価値を下げることにもつながります。現在では偽物の金か見極める方法として火を使った判定方法は採用されていません。
金の偽物にはどのような種類がある?
ここからは代表的な4つの偽物を紹介します。一見本物のようですが、含有量や作り方が大きく異なっています。
- 金メッキ
- 金張り
- 金合金
- 金属の塗装品
金属の塗装品上記の製品は純度が高いアイテムと比べて安価で入手しやすいメリットはあるものの、耐久性や時間経過による変色や変形のリスクは金よりもはるかにあります。
以下で偽物の代表例とその特徴をくわしく解説します。
1.金メッキ
金メッキとは真鍮、銅、鉄などの金属の表面に、薄く金をコーティングする方法です。他の金属の塊に金を薄く伸ばして貼り付けるだけである分、コストをおさえて製造されています。摩擦や衝撃によって剥がれてしまえば内部が露出し、一目で純金とは異なるとわかるのも大きな特徴です。
メッキは3,500年以上前から存在するほど長い歴史を持った加工技術です。かつては現在のイラクである、メソポタミアで金属の腐食防止のため、すずをメッキ加工していました。
メッキは本来、水や酸素による腐食を防いで、装飾的にも美しさを高める方法として開発されました。
紀元前500年頃に中国で青銅の器に金メッキが取り入れられた歴史もあり、日本でも古墳時代に仏教とともに中国からメッキ技術が伝来した影響でその技術が使われはじめ、現在に至ります。
このように本来は腐食を防ぐ目的で誕生した技術ですが、現在はメッキした金属を純金と偽って販売するケースが増えています。
2.金張り
金張りは金メッキ同様、内部の金属の塊を薄い金で覆う方法です。簡単に剥がれないよう、熱と圧力で素材と金をしっかりと密着加工する製法で作られており、金メッキよりも表面に厚く金を貼り付けます。
そのため純金のような高級感が見て取れ、少々表面が取れても内部の金属が露出しません。
なお金張りされたアイテムには、基本的に「GF(gold filled)」と表記されています。金張りに使われている金の純度がK18であれば「18KGF」と書かれるため、K18の金を表面に伸ばして加工した製品だとすぐに判断できます。
また、金メッキより金の使用量が多いため価格も高価です。本物に近い見た目をしているため、本来よりも高い金純度を刻印した偽物も多い点は注意が必要です。
たとえば18KGFと表記するアイテムを、K18と表記する悪質な詐欺商品も世界的に流通しています。
肉眼で正しく見分けるのはプロの鑑定士でもむずかしいため、X線検査などの精密な鑑定が必要です。
3.金合金
金合金は金をベースに銀、銅やパラジウムなどの金属を複数混ぜて作った製品です。別名「カラーゴールド」とも呼ばれます。
金は純度が高いほどやわらかく加工しづらい性質がありますが、金合金はほかの硬度が高い金属を含んでおり加工しやすいのが特徴です。そのためアクセサリーに金を使用する際は、カラーゴールドがよく用いられます。金合金には、以下のようなものが存在します。
代表的な金合金(カラーゴールド)
名前 |
色味 |
含有金属の目安 |
用途 |
イエローゴールド |
純金より黄色が強い |
金:75% |
日常使いのアクセサリー |
ピンクゴールド |
淡いピンク色 |
金:75% |
日常使いのアクセサリー |
ホワイトゴールド |
明るい銀色 |
金:75% |
日常使いのアクセサリー |
グリーンゴールド |
緑がかった黄色 |
金:75% |
ハワイアンジュエリー |
ブラックゴールド |
黒みを帯びた濃灰色 |
金:75% |
結婚指輪 |
金色によく似たイエローゴールドは銀、銅を中心に作られています。華やかで明るい黄色が特徴で、アクセサリーの定番です。純金と比較して輝きが強いため、見た目で判断できる場合が多くあります。
他にも、淡いピンク色が入ったピンクゴールドも合金の一種です。銀、銅、パラジウムを加えて、ピンクの色合いを出しています。
また、黒みがかったブラックゴールド、緑色が混ざった黄色のグリーンゴールドなど、希少な種類の金合金は主に結婚指輪など生涯身に付ける特別なジュエリーに人気の素材です。
4.金属の塗装品
金属の塗装品は鉄やアルミニウムの安価な金属に金色の塗装を施した物です。金メッキと似ていますが、腐食しづらい真鍮に薄く金を伸ばした金メッキに対して、金属の塗装品はベースが鉄、アルミニウムであるのが一般的です。空気に触れるうちに酸化が進んで錆びや黒ずみが目立ちやすいのも大きな特徴です。
見た目は一見金ですがアルミニウムの場合はとても軽く耐久性も低いため、手で持っただけで判断しやすい偽物です。また鉄は重いイメージですが比重は7.87と、金の約19.32の半分以下と軽いため比べてみると違いがわかります。
刻印なしの金は刻印ありに比べて安い?
刻印なしの金は製品の種類によって、価値が下がるリスクと下がらないケースがあります。
たとえば純金のインゴットや延べ棒、金貨は金の価値のみで判定します。つまり純度表記がなくとも、純金だと鑑定できれば価値は刻印の有無で左右されません。
ただしアクセサリーや骨董品など純金ではないアイテムは、刻印が見つからないと買取価格が下がるケースがあります。なぜなら刻印がないと、見た目だけで本物と証明ができないため刻印があるアイテムよりも需要が減るためです。また刻印部分に傷やこすれで読めない状態も、傷ありのアイテムとして価値が下がる原因です。
刻印がないアクセサリーや骨董品を適正な価格で売却したい場合は、純度を正確に判定できるX線機器での純度査定をおこなっている業者に査定を依頼しましょう。
また、金製品そのものに刻印がなくとも、保証書などに金の含有量が記載されているケースもあります。刻印がない金製品は売却の際には保証書などが残っていないか、探してみてくださいね。
刻印なしの金を売るならまねきやがおすすめ
金の純度が不明であるアイテムも売却は可能ですが、金属の種類や純度が正確にわからなければ正しい価値をつけられない可能性があります。だからこそ、金の価値をきちんと判断できるプロの鑑定士がいる業者を選びましょう。
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この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。