「腕時計のベルト交換ってどうやるの?」
「今持っている腕時計ってベルト交換できる?」
このような悩みをお持ちの方のために、本記事では腕時計のベルト交換の方法や、交換できないときの対処方法を、初心者の方でもわかりやすく解説します。現在お持ちの腕時計のベルト交換で悩んでいる方は、ぜひ一読ください。
腕時計のベルト交換に必要な道具
腕時計のベルト交換には必要な道具が6つ存在します。この章で、それぞれの道具を解説していきます。
1.バネ棒外し(Spring Bar Tool)
バネ棒外しとは、腕時計の「バネ棒」を取り外したり付けたりする専用の工具です。先端が2種類あり、時計のかん(時計のケースとバンドが接合する部分)の形に対応した使い方ができます。時計のバネ棒の端をつかんで外すのに便利です。
2.ピンセット
腕時計は、細かい部品が多い道具であるため、ピンセットを使いましょう。種類も豊富で、鉄やステンレス、プラスチックなどがあります。特にバネ棒を取り扱うときには、繊細に調整する必要があるため、先端の細いピンセットを推奨します。
3.時計固定台
時計固定台とは、腕時計を修理するときに安定させるための台です。使用すると、繊細な作業の効率が上がります。例えばベルト交換時に、文字盤を机に直接置くと傷つく可能性があります。しかし、時計固定台を使用することで、文字盤も宙に浮くため傷つく心配もなくベルト交換が可能です。
4.ルーペ
ルーペとは、時計修理の細かい作業時に、視覚を助けてくれる拡大鏡です。別名を「キズミ」とも言います。ルーペを使ってバネ棒やラグ(ベルトと本体を連結する部分)など小さい部品の状態を確認すると、正確に作業ができます。例えば女性が使用する時計は小さいものが多いため、ルーペを使用して作業すると安全です。
5.替えベルトとバネ棒
交換用のベルトと、古くなったバネ棒を交換するために新しいバネ棒を用意します。基本的にバネ棒は、交換したいベルトに付属しています。しかし、付いていない場合もあるため、準備するときは時計とベルトに合ったものを探してください。
6.布または柔らかい作業マット
時計のベルトを交換するときに、硬い机の上などで作業するのはやめましょう。時計本体はデリケートなため、部品が傷つく恐れがあるからです。作業を始める前に、作業スペースを整理して布、または柔らかい作業マットを準備してください。ベルト交換中に部品が滑り落ちても、傷がつきにくくなるメリットもあります。
腕時計のベルト交換手順
腕時計のベルト交換手順は7つのステップがあります。この章でそれぞれ解説します。
ステップ1: 必要な道具を準備する
腕時計のベルト交換には、先ほどの見出しで説明した以下の道具を準備します。
- バネ棒外し
- ピンセット
- 時計固定台
- ルーペ(拡大鏡)
- 替えベルトとバネ棒
- 布または柔らかい作業マット
万が一すべてを揃えられなかったとしても、交換用ベルトとバネ棒外しは必ず使用するので揃えてください。
ステップ2: 時計を固定する
時計を傷つけないために、準備した時計固定台に取り付けます。それにより、文字盤なども傷付かず安定した作業が可能です。時計固定台が準備できなければ、柔らかい布の上に置いて固定すると、作業がしやすくなります。
ステップ3: バネ棒を外す
バネ棒外しを使って、時計のラグ(時計ケースのベルト取り付け部分)とベルトの間にあるバネ棒を縮めて取り外します。基本的に、バネ棒は縮めるとラグから外れる仕組みです。ただし、ラグがない時計や金属のメタルプレス時計(金属密度の高い時計)の場合、外し方が異なります。バネ棒外しのY字型側を、ベルトとラグの間に差し込んでから、ベルトをひっかけて、ずらして外しましょう。
ステップ4: 古いベルトを取り外し、新しいベルトにバネ棒を取り付ける
バネ棒を外したら、古いベルトを時計本体から外します。外したら、新しいベルトにバネ棒を差し込みます。ベルトにはバネ棒を通す穴があるため、ここにバネ棒をしっかりセットしてください。時計の種類によって外し方は異なりますが、取り付けるときはすべて一緒のため引き続き参考にしてください。次項で詳しく解説します。
ステップ5: 新しいベルトを取り付ける
バネ棒を縮めながら、新しいベルトを時計のラグに固定します。片側のバネ棒をラグに当て、もう一方のバネ棒を押し込みつつラグの中に収めます。納めたときに、カチっとハマった音がしたかどうかもチェックしましょう。バネ棒が確実に固定されるまで軽く動かして、位置が合っているかチェックしてください。
ステップ6: しっかりと固定されているか確認
ベルトがラグにしっかりと固定されているかをチェックします。
軽く引っ張ってみて、バネ棒が緩んでいないか、しっかりとセットされているかをチェックしましょう。強く引っ張りすぎないよう気をつけてください。
ステップ7: 時計を試着
最後に時計を試着して、ベルトのフィット感をチェックします。ベルトが正しく取り付けられているかや、快適に装着できるかをチェックします。交換がうまくできてないときは、専門の時計店でお願いすると安心です。
腕時計のベルト交換時の注意点
腕時計のベルトを交換するときに注意して欲しい点が8つあります。この章で、それぞれ解説します。
1.時計本体や風防に傷をつけない
時計のベルト交換時に、時計本体や風防(ガラス部分)を傷つけないために、柔らかい布や、時計固定台を使用しましょう。バネ棒外しを扱うときは、特に時計ケースの表面や風防にぶつからないように慎重に作業してください。
2.バネ棒が飛び出すリスクに注意
バネ棒を外すとき、強く押し込みすぎるとバネ棒が飛び出して紛失する恐れがあります。そのため、飛び出すのを防ぐために慎重に作業をします。バネ棒を紛失すると、ベルトを固定できません。作業する場所をあらかじめ整理し、飛び出してもすぐ見つけられる環境で行うのが安全です。
3.適切なバネ棒を使用する
古いバネ棒を再利用するときは、以下に注意して作業してください。
- バネ棒が錆びていないか
- バネ棒が曲がっていないか
- バネ棒の長さが時計のラグに合っているか
傷んでいるバネ棒は、新しいベルトに合わせて交換しましょう。バネ棒のサイズが合わないと、時計とベルトが固定できず、落下のリスクが高くなるためです。万が一適切なバネ棒がない場合は、専門家に依頼することを推奨します。
4.ベルトのサイズを確認
新しいベルトの幅と時計のラグ(ベルトを取り付ける部分)の幅が合っているかチェックしてください。もし、ラグの幅に対してベルトが狭すぎたり、広すぎたりすると、うまく装着できないか、見た目や機能性に問題が生じてしまいます。
取り付ける前に、メジャーや定規で測ると効率的です。
5.金属ベルトの場合、リンクの長さ調整に注意
金属ベルトを交換するとき、サイズが合っていないとリンク(腕時計の部品)を調整する必要があります。リンクを外すときは、専用の工具を使い、慎重に行ってください。ピンやネジを無理に外すと、壊れる恐れがあります。リンクを外す前に、時計に合うか計測しておくと便利です。
また金属ベルトは、細かな隙間に汗が入り込む場合があります。装着してから、ケアフロスなどで手入れしましょう。
6.時計の防水性に注意
防水性能を持つ時計のベルトを交換するとき、バネ棒で外しても防水性能に異常は見られません。しかし、時計のラグやケースが傷つけば、防水性能に影響を与える可能性があります。そのため、時計固定台などを使用して作業してください。
交換後、防水性能を持つ時計の場合、専門店などで防水性のチェック依頼も検討してください。
7.しっかり固定されているか確認
ベルトを取り付けた後は、バネ棒が正しくはまっているか、ベルトがしっかり固定されているかをチェックしましょう。バネ棒の固定ができていないと、時計を装着したときにベルトが外れ、落下する危険があります。
固定した後は、ベルトがついているか軽く引っ張ってチェックしてください。
8.ベルトの素材に適した扱い方
レザーやナイロンのベルトは、繊細な素材です。作業中に無理に引っ張ったり、ねじったりしないように気をつけましょう。メタルブレスレットの場合も、リンクやバックルに無理な力を加えないようにしてください。
自分で行わない腕時計ベルト交換の方法
「時計のベルトの交換方法は分かったけど、自信がない…」
「説明を聞いたけど難しそう」
この章ではそんな悩みを解決する方法を5つ紹介します。
1.時計店やジュエリーショップに依頼
お近くの時計店やジュエリーショップでは、ベルト交換サービスを提供しています。特に、時計店は専門のスタッフが道具で、手際よく安全に交換してくれるでしょう。万が一バネ棒がないときも、時計店であれば部品も揃っているので安心です。
自分で作業するのが不安なときや、道具を揃える手間が面倒なときに便利です。
2.時計ブランドの正規サービスセンターに依頼
高級時計や特殊な時計の場合、購入したブランドの正規サービスセンターに依頼すると安心です。正規サービスセンターに依頼するメリットは以下です。
- 部品が劣化していても探す必要がない
- 購入したブランドのものを使用している
- 予算に合わせたベルト選びができる
- 他の故障箇所などもみてくれる
特に防水時計や、特殊なバネ棒や工具を使う時計は、自身で修理すると不具合が起きる恐れがあるため、正規サービスを受けましょう。
3.オンラインの時計修理サービスを利用
最近では、オンラインでベルト交換や修理を受け付けてくれるサービスも増えています。中には、初めての方向けにベルト交換の説明しているサイトもあり、知識がなくても安心して依頼できます。
また、お店に行く時間がない方でも時計を郵送してベルト交換を依頼することも可能です。
4.自動交換機やセルフサービス機を使用
一部の大型ショッピングモールや家電量販店では、腕時計のベルト交換用の自動交換機やセルフサービス機が設置されていたり、実際にベルトの交換作業を行なってくれたりするお店もあります。注意点として、店舗によってはお店で購入したものしか交換できない場合もあります。近くのショッピングモールや家電量販店で交換してもらいたいときは、そのお店で購入していなくても交換してくれるのかあらかじめ調べていきましょう。
5.デパートやショッピングモールの時計売り場での交換
デパートやショッピングモールにある、時計売り場やアクセサリーショップでは、ベルト交換してくれます。メリットは、買い物ついでにベルト交換の依頼ができる点と、費用を抑えた交換作業が可能な点です。高い技術を持った職人がいる店舗もあるため。ホームページで実績を調べてから訪問しましょう。
比較的リーズナブルな価格で交換作業が可能です。
ベルト交換ができない、もしくは難しい腕時計の種類
すべての腕時計が、ベルト交換できるわけではありません。この章ではベルト交換できない腕時計を7つ紹介します。
1.一体型ブレスレットの時計
ケースとベルトが一体化したデザインの時計は、ベルト交換できません。理由は、時計のケースとベルトが専用に設計され、構造的に一体化しているためです。どうしても交換を希望する場合は、時計を作っているメーカーに問い合わせてみましょう。
2.特殊な形状のケースやラグ
ラグ(ベルトを取り付ける部分)が特殊な形をしている時計も、ベルト交換が難しい傾向にあります。通常のベルトが装着できないため、同じ形状に対応する特定のベルトしか使えません。この場合、ベルトをカットして取り付ける可能性もあるため、時計専門店や、購入したメーカーなどに問い合わせるとスムーズに交換できる可能性があります。
3.一部のスマートウォッチ
一部のスマートウォッチは、専用のベルトしか交換できない場合があります。特に、スマートウォッチはバンドにセンサーや特殊なクリップ機構が組み込まれているため、交換が制限されます。対策としては、購入したメーカーに問い合わせて交換を依頼するのが安全で確実です。
4.電池一体型の使い捨て時計
一部の低価格のファッション時計やスポーツ時計の中には、電池とケースが一体化した構造のものがあります。このような腕時計は、バンド交換だけでなく修理も困難なものが多い傾向になります。
5.特殊なクラスプや接続機構
高級ブランドの特定のモデルや、デザイン重視のファッションウォッチは、特殊なクラスプや接続方法が使われていて、ベルト交換が通常の方法で行えないものがあります。クラスプや留め具自体が時計の構造に組み込まれている場合、専用の交換方法が必要です。
そのため、時計専門店などでの交換が確実です。
6.ヴィンテージ時計やアンティーク時計
ヴィンテージ時計やアンティーク時計では、ケースやラグの状態が古く、通常の方法でベルト交換できないときがあります。使い込まれている腕時計だと、ラグが錆びていたり、バネ棒のサイズが標準的でなかったりするなどの理由で、交換が難しくなります。
そのため、時計専門店などで依頼するといいでしょう。ヴィンテージ時計やアンティーク時計の修理も行ってくれる専門店であれば、廃盤になった純正パーツを手に入れてくれるところもあるので、安心して依頼できるのがメリットです。
7.ラグがないデザインの時計
ラグが存在しない作りの腕時計も、ベルト交換できない傾向にあります。ベルトがケースに完全に埋め込まれているタイプのもので、利用者が自分で交換できません。
時計専門店に依頼して交換してもらうとより確実です。
ベルト交換が難しい時計に対処する方法
ベルト交換が難しい腕時計でも、だれかの贈り物や、大切な思い出のものは簡単に手放せません。そのような、お悩みをお持ちの方に以下の3つの方法を紹介します。
1.メーカーの正規サービスに依頼する
特殊な時計のベルト交換は、メーカーの正規サービスを利用するのが確実です。特に一体型ブレスレットや特殊形状の時計は、メーカーでしか交換できない状況が多いため、正規店に交換を依頼するのがいい方法です。
保証期間であれば無償で交換も可能なので一度検討してみてください。
2.専門の修理業者に依頼する
腕時計のベルト交換が難しい場合でも、時計修理の専門業者なら対応できる場合があります。特にヴィンテージ時計やアンティーク時計は、専門的な知識と工具が必要なため、信頼できる修理業者に依頼する必要があります。口コミやホームページでの実績などを見て、信頼できる業者かどうかをチェックしてください。
専門の修理業者だからこそ、独自のルートで仕入れられる部品もあるため、一度検討してみてください。
3.メーカー指定のベルトを使用する
市販のベルトで交換が難しい時計でも、メーカー指定の専用ベルトが販売されている場合があります。このような専用ベルトは、取り付けがスムーズにできるよう設計されている場合が多く、交換時のトラブルが少なくなります。
市販のベルトが合わない場合は、メーカー指定のベルトを使用するのもおすすめの方法です。
腕時計の買取ならまねきや
まねきやでは、時計の状態や年季に関わらず、専門の査定士が確かな目で査定いたします。買取実績も、ロレックスやグッチ、オメガに限らず、幅広く対応しております。
「今売るといくらになるの?」
「ベルトがついていないけど買い取ってくれる?」
このような疑問にもお答えいたしますので、ぜひまねきやをご利用ください。
この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。