「時計の磁気抜きを自分でする方法ってあるの?」
「磁気抜きをしたいけどやり方がわからない」
このようなお悩みを抱えている方のために、本記事では時計の磁気抜きを自分でする方法を解説します。記事を読むことで磁気抜きの方法から、磁気抜きをする上での注意点がわかります。
自分で磁気抜きをしようと思う方はぜひ参考にしてみてください!
時計の磁気帯びとは
時計が磁気を帯びると内部の金属部品が磁化され、時間を刻むスピードにずれが生じます。デジタル機器や電化製品が発する磁気により磁気帯びが増えた現代では、多くの人が経験する問題です。
磁気帯びの症状は時計によって異なり、それぞれの対処方法も変わります。正しい知識がないと、貴重な時計を傷つけてしまう可能性もあるため要注意です。
まずは以下で磁気帯への理解を深めましょう。次項から具体的な症状や原因、対処法を解説するので参考にしてください。
時計の磁気帯びの症状とは
時計の磁気帯び症状は、機械式時計とクォーツ時計の2種類で異なります。放置すると精度が低下し、修理費用が高額になる可能性があります。そのため、種類の判断とそれぞれに合った対処が必要です。本章で解説します。
1.機械式
機械式時計は、巻かれたゼンマイの元に戻ろうとする力で動きます。内部の「てんぷ」という部品が一定のリズムで振動し、その動きが歯車を通じて針の動きへ変換されます。機械式時計が磁気を帯びると、3つの症状が現れます。
- 極端な針の進み・遅れ
- 針の不規則な動き
- 針の静止
磁気により内部のゼンマイが不自然に引き寄せられたり、歯車が動きにくくなることで上記の症状が現れます。主要部品のテンプやヒゲゼンバネが磁性体であることが、磁気帯びが発生する原因です。部品が磁化されると、本来の振動周期が乱れて時計の精度に影響します。
また、高級時計には耐磁性を高めるための特殊合金や磁気シールドが使用されていますが、完璧ではありません。針の動きがおかしい場合は、他の時計同様に磁気抜きが必要です。
2.クォーツ式
クォーツ式時計では水晶の振動をもとに、電池の力で歯車を動かします。機械式と違ってゼンマイを巻く手間がないのが特徴です。クォーツ式時計が磁気を帯びると、2つの症状が現れます。
- 針の動作に異常がでる
- 時刻がズレる
内部の電子部品やモーターが磁気の影響を受けることで上記の症状が出ます。しかしクォーツ式時計の場合、機械式時計ほど深刻な問題にはなりません。クォーツ式は機械式に比べて磁気の影響を受ける部分(部品)が少ないためです。
ただし、内部の集積回路(IC)が磁気の影響で誤動作を起こすと、修理が必要になります。例えば、MRI検査など極めて強い磁気が発生する場所では、内部の電子回路にダメージを受けやすいため、外すのがおすすめです。
アンティークの時計は磁気帯びしやすい
アンティークの時計は、現代の時計と比べて磁気シールドなどの保護機能が十分でないことから磁気の影響を受けやすいです。日常的に使用している方は、リスクを理解し、適切な対策を講じておきましょう。磁気帯びしやすい理由は以下の3つです。
- 時計の構造
- 時計の金属材料
- 時計の使用による経年劣化
特に磁気を帯びる危険が高いのは、1950年代以前に製造されたアンティーク時計です。当時の時計は、現代のような高度な磁気対策が施されておらず、スマートフォンやタブレットの近くに置くだけで、磁気を帯びる可能性があります。
磁気を帯びないように保管場所を工夫したり、定期的に異常がないかチェックしたりして、磁気帯びを防ぎましょう。
時計の磁気帯びの原因
時計が磁気を帯びる原因となる電子機器は、家庭にも多く存在します。代表的なものは以下の7つです。
- パソコン
- スマートフォンやタブレット
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- スピーカー
- 電車
- エレベーター
このように、現代社会で生活していく上で磁気を帯びているものは多く存在します。しかし、正しい知識を把握し対策することで予防可能です。大切な時計を守るためにも、原因と対策をしっかりと把握して、磁気帯びを未然に防ぎましょう。
時計が磁気を帯びているのか確かめる方法
時計の磁気帯びは、時計の不規則性をチェックすると判断できます。時計の磁気帯びを確認する方法は以下の3つです。
- メーカーに相談:時計のブランドがわかる場合におすすめの方法。磁気帯びかもしれないと思ったら、メーカーに相談すれば、具体的な対処法方がわかります。
- コンパスを使用:コンパスを時計に近づけたとき、コンパスの針が時計に反応したかどうか確認する方法。反応した場合、磁気を帯びていると考えられます。
- 専門家の診断:安心で堅実な方法。費用がかかる一方、安心しておまかせできます。
時計が磁気を帯びているかどうかは、上記ツールで確認できます。時刻の進みが一定でなかったり、針の動きが不自然だったりする場合、磁気を帯びている可能性が高いです。少しでも違和感を感じたら早めの確認をおすすめします。
自分で時計の磁気抜きをする方法
時計の磁気抜きは、適切な道具と正しい手順を把握することで、自分で実施できます。ただし、ポイントを押さえないと磁気抜きできないままになるので、しっかり理解する必要があります。
作業は専用の磁気抜き器を使用し、時計を適切な位置で回転させるだけです。気をつけるべきは、作業環境の準備と、適切な道具の選択です。正しい手順と方法を守ることで、時計を傷つけることなく磁気を除去できます。準備物と手順は以下の表を参考にしてください。
準備するもの |
磁気抜き器(1,500円〜10,000円程度) 清潔な作業台 柔らかい布(時計を傷つけないもの) スマートフォンの磁気センサーアプリもしくはコンパス |
作業の順番 |
1. 作業台の上に柔らかい布を敷き、布の上に磁気抜き器を置く 2. 時計を磁気抜き器の上に配置し、文字盤を上に向けて水平に保つ 3. 時計を磁気抜き器に入れてボタンを押す 4. ゆっくりと時計を離す 5. 時計が離れたのを確認したら、ボタンから指を離す |
磁気抜きの効果はすぐに現れることもありますが、時間がかかる場合もあります。24時間ほどは経過を観察しましょう。また、改善が見られないときや、作業に不安な方は、専門店でみてもらうことをおすすめします。
自分で時計の磁気抜きをする際の注意点
時計の磁気抜きを自分で行う際の注意点は以下の3つです。
- 適切な磁気抜き器を選ぶ
- 作業は平らな場所で行う
- 磁気抜き後の動作確認を行う
適切な磁気抜き器選びと作業環境の確保、作業後の確認が重要です。以下で詳しく解説します。
1.適切な磁気抜き器を選ぶ
磁気抜き器を選ぶ際のポイントは、時計の種類や価格帯に応じて適切な製品を選択することです。磁気抜きの成功率を高め、愛用の時計を守るために、5つのポイントを押さえて選びましょう。
基本性能 |
安い海外製の磁気抜き器も多く販売されていますが、専門店で扱われている信頼性の高いブランド製品がおすすめです。 |
価格 |
3,000円から1万円程度の中級モデルがおすすめです。性能と価格のバランスが良く、一般的な機械式時計の磁気抜きに適しています。ただし高級時計の場合はリスクが高いため、専門店の磁気抜きをおすすめします。 |
サイズと重量 |
時計のケースサイズに対応した大きさの磁気抜き器を選びましょう。一般的な腕時計なら、直径10センチメートル程度の磁気抜き器で対応できます。 |
電源方式 |
電池式とコンセント式の2種類あり、電池式は場所を選びませんが電池切れの可能性があります。コンセント式は電池切れの心配がない反面、場所が限定されるデメリットがあります。環境に合わせて選びましょう。 |
付属品と機能 |
時計固定用のホルダーや、磁気測定機能が付いた製品を選ぶと、より着実に進められます。説明書が日本語表記の製品を選ぶことで、正しく使用できます。 |
使用前に取扱説明書を読み、製品の特性と使用方法を理解してから作業を始めましょう。
2.作業は平らな場所で行う
時計の磁気抜きを着実に行うために、平らで安定した作業スペースを確保しましょう。スペース確保で大切なポイントは3つです。
作業台選び |
安定した頑丈な机やテーブルを選びましょう。また、磁気を帯びやすい金属製の机は避けましょう。木製や樹脂製の作業台がおすすめです。 |
作業スペース確保 |
時計と磁気抜き器を置くスペースは、何も置かないようにしましょう。スペースが狭いと、不意の接触で時計を落としてしまう可能性があります。スマートフォンやタブレットなど、磁気を帯びたものを近づけないことも大切です。冷蔵庫や電子レンジも磁気を帯びているため、近くで行うのは避けましょう。 |
照明の設定 |
作業台の真上から明るい光が当たる環境を準備しましょう。影が作業の妨げにならないよう配慮します。蛍光灯やLEDデスクライトの活用がおすすめです。 |
作業台が不安定だと、磁気抜き器や時計が落下するリスクが上がります。適切な作業環境を整えて、磁気抜きを行いましょう。
3.磁気抜き後の動作確認を行う
磁気抜きの効果を判断するには、経過観察が必要です。磁気抜きの確認は以下の手順で行いましょう。
磁気抜き以降の手順
- 針の動きを確認
- 針がスムーズかつ、異音がないか確認
- 針の動きが不自然、もしくは異音があれば磁気が残っている可能性あり
磁気抜きが成功したかを正確に判断するためにも、磁気抜きの1時間後・24時間後に以下の方法でチェックしましょう。
作業後1時間で確認 |
標準時との誤差を計測し、記録します。スマートフォンの時計アプリなど、正確な時刻と比較して確認するといいでしょう。 |
作業後24時間で確認 |
あらためて標準時との誤差を計測します。±1分以上のズレが生じている場合、まだ磁気の影響が残っているか、別の問題がある可能性が考えられます。 |
以下の症状が見られる場合は、専門店での点検をおすすめします。
- 針の動きが不規則
- 1日で1分以上誤差が発生
- 異音の発生
- リューズの操作不良
一度の磁気抜きで改善が見られないときは不用意に作業を繰り返さず、専門家に相談しましょう。
不要になった時計はまねきやに売るのがおすすめ
時計の磁気抜きは手間が多く、専門業者に磁気抜きを依頼するのも費用がかかります。そのため、時計を使わないのであれば、買取に出すのもおすすめです。
まねきやでは、時期を帯びた時計や使用困難になった時計など、状態に関わらず幅広い買取を行っています。高級時計のロレックス以外に、フランクミュラーやウブロ、パネライなども対応しています。世界三代時計で知られている以下のブランドも、適正価格を見極めたうえで買取いたします。
- パテックフィリップ
- ヴァシュロン・コンスタンタン
- オーデマピゲ
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この記事の監修者
水野 政行 | 株式会社水野 代表取締役社長
高価買取専門店 まねきや 最高責任者・鑑定士
今まで 54,750点以上の査定実績。
金・貴金属・宝石全般、ロレックスなどのブランド時計、ブランド品全般、切手、古銭、絵画、骨董品全般の査定を得意とする。
2021年より自社ブランドである「高価買取専門店 まねきや」をリリースし、全国に展開。
「売るはめぐる」をコンセプトにした、買取専門店である当店を一人でも多くの方に体感していただくために、私の約15年間の業界経験の全てを注ぎたいと思っております。