インゴットと言えば、金の延べ棒をイメージする方が多いのではないでしょうか？ インゴットには金だけに限らず、ほかの貴金属、サイズもさまざまあります。 この記事では金のインゴットを購入、売却する前に知っておきたい基礎知識をまとめました。 また、なぜ金のインゴットが資産運用に向いているのか、運用するときの注意点とともにご説明します。

インゴットとは

インゴットとは日本語で「鋳塊（ちゅうかい）」と呼ばれる金属の固まりです。 鋳塊とは、高熱の炉の中に入れて溶かした金属を鋳造して純度を高めた状態で固めたもの。 インゴットは鋳塊した金属の中でも、限りなく特定の貴金属の純度が100％に近い99.99％のものが正式に認められています。 別名金の延べ棒とも呼ばれており、日本でもきらきらと金色に輝く長方形の棒状の姿をイメージする人が多いです。

インゴットは金だけではない

インゴットは金だけでなく、銀やプラチナといったほかの金属の種類があります。金はもっとも価値が高いですが、銀やプラチナもアクセサリーなどに使われる欠かせない貴金属です。 そのため、銀やプラチナのインゴットも資産運用に使われているのです。 「インゴット＝金のインゴット」とは限らないため、インゴットを購入する際には十分に注意しましょう。

インゴットと地金の違い

インゴットとよく似たものに「地金（じきん）」があります。 この地金は金属を加工する前の塊のことを意味しています。地金の場合はほかの貴金属や不純物が混ざっていることも多く、資産運用に使われている純度が高いインゴットとは異なるものです。 しかしインゴットも金属の塊であることは同じであり、インゴットを含めて地金と呼ぶこともあります。 また、インゴットそのものを地金と呼ぶケースもあり、販売元によって名称が違うことも覚えておきましょう。

金のインゴットが資産運用に向いている理由

金のインゴットは現物資産として、資産運用で高い人気があります。特にここ数年は大きく金の価値が上昇しており、数倍もの値段で取引されているのです。 今後も金の価値はますます上がると予想され、資産運用をしようと世界中で金のインゴットを買い求める人が後を絶ちません。 なぜそこまで金のインゴットが注目されているのでしょうか？資産運用に金のインゴットが向いているのは、次のように理由があります。

人工的に作り出せない天然の資源

金はもともと人工的には作り出せない天然の資源です。天然のものは使えばいつか枯渇して、なくなってしまいます。 特に金は人気が高くアクセサリーはもちろん、さまざまな工業製品にも使われています。私たちの生活で欠かせない資源だからこそ、今後も使われ続けるのです。 どんどん金の産出量が減り希少性が高くなっていきます。そのため金の価値が今後下がることは起こりづらく、希少性が高まると同時に金1グラムあたりの価値も上昇していきます。

不況時に価値が上がる

金は世界的な経済状況に強い影響を受けやすいです。たとえば東日本大震災、アメリカ同時多発テロといった、世界に影響が出る事件、災害の際には、不安から金を買い求める人が殺到して価値が大幅に上昇しました。 また、2020年の新型コロナ感染症の流行や、2022年のロシアのウクライナ侵攻による社会不安から、さらに金の価値は大幅に上昇。2020年1月時点での金1gあたりの価値は約6,000円でしたが、2023年6月現在の価値はなんと約9,700円と3,000円以上も高騰しています。

金のインゴットを資産運用する際の注意点

金のインゴットは株とは違い、今後下がるリスクがかなり低い資産です。しかし、必ずしも購入すれば利益が出るとは限りません。 資産運用するにあたって、知っておきたい金のインゴットの特徴をご紹介します。

所有しているだけでは利益が出ない

金のインゴットは購入して持っているだけでは利益が出ません。保有するだけで、株のように配当金や利益が得られるわけではないのです。金はあくまでも購入したときの価格よりも高く売ることで、はじめて利益が生まれる資産です。 購入して何年も寝かせているうちに、金を購入したこと自体を忘れてしまえば利益は出ません。また、せっかく購入したとしても管理が雑で、金のインゴットを傷つけたり錆びさせたりすれば、本来の価値よりも下がる原因につながる可能性もあります。 購入した時点で終わりではなく、金のインゴットがいくらになったら売却するのか、目標や利益を得たい期限をあらかじめ決めておきましょう。 また、金のインゴットを自宅で管理することがむずかしいなら、最近は金のインゴットを毎月購入できる純金積み立てなどのサービスも人気です。 いずれにしろ株のように長期保有するタイプの資産運用ではないため、売り時に十分注意が必要です。

売却の際に税金がかかる場合がある

金のインゴットを売却する際には、税金がかかることも覚えておきましょう。 これは金の売却による利益が年間50万円をオーバーすると、超過分が控除外になってしまいます。 オーバーした分が課税対象となるため、税金による支払いが発生する分そのまま金の利益を受け取れない可能性があります。 また、生前贈与をする場合も年間110万円までの税金控除の制限があります。たとえば子どもたちに遺産として、金のインゴットをまとめて譲渡してしまうと、その年の税金の支払いが求められてしまうのです。 そんな税金対策のために、インゴットは小分けに分割したうえで売却や贈与することが大切です。本来500グラムや1キロの金のインゴットを100ｇなどに小さく分割し再生成することで、課税せずに売却や譲渡しやすくなります。 数年わけての売却、贈与の形にはなりますが、金は価値が下がりにくいため計画的に売却して利益を出していきましょう。 まねきやではインゴット分割サービスを実施しています。100ｇ単位でインゴットを分割するうえ、分割手数料は無料です。 分割加工費のみで対応しているため、費用をおさえてインゴットを分けたい方におすすめです。事前に予約いただければ100gずつの分割は最短当日中に可能です。

金のインゴットには厳しい規格がある

資産運用のための金のインゴットは、とても厳しい規格が設けられていることをご存じですか？ 特定の規格を満たしていないものは、たとえインゴットと呼ばれていても正式な取引ができません。これは偽物を流通させず、ちゃんとした品質のインゴットだけを市場で使うための規格なのです。

K24でないといけない

金のインゴットはK24の純度のみが正式なものとして扱われています。このK24とは純度99.99％のことで、限りなく100％に近い純度だと認められたものだけです。 アクセサリーだと柔軟性を出すために、あえてほかの貴金属を混ぜているK18やK22が定番です。しかし、金のインゴットに関してはK24以下の純度は規格外になるのです。インゴットを買うときにはきちんとK24の表記があるものを選びましょう。

LBMAが定める規定

金のインゴットの市場取引は、LBMA（ロンドン貴金属市場協会） による規格が基準になっています。 このLBMAは、ロンドン金市場受渡適合品（グッドデリバリー・バー）と呼ばれる規格を定めており、世界的にグッドデリバリー・バーの規格を満たしたものだけが、取引に認められているのです。 LBMAの規格は、純度が99.5％以上の金のインゴットである必要があります。ロンドン市場は現物地金取引の世界の中心的市場なのです。そのため、最低ラインとしてLBMAの規格をクリアし、認められた金のインゴットかどうか確認したうえで購入することがとても大切です。 中には金のインゴットと書かれていても、純度が低いものも存在します。購入するにあたってはロンドンのグッドデリバリー・バーの規格をきちんと突破しているか、承認されていると記載されているものを購入しましょう。 購入するお店も金のインゴットを取引している歴史があるなど、信頼できるところを選ぶことが重要です。

東京商品取引所では、99.99%以上のものが取引される

実は日本の東京にも公設されている貴金属市場が存在します。東京商品取引所は、金純度が99.99％以上のものだけが取引されているのです。 ロンドンのグッドデリバリー・バーよりも厳しい基準が設けられているため、日本だけでなく世界で東京商品取引所が活用されているのです。 この東京商品取引所は日本で唯一の公設貴金属市場であり、取引開始は1982年からと長い歴史を持っている老舗です。 なお2020年7月からは東京商品取引所から、大阪取引所への移管がはじまっています。

金のインゴットには公式国際ブランドがある

金のインゴットには、公式国際ブランドが存在します。これは、東京商品取引所が認めている、受け渡しが巨かされている指定ブランドのことです。 この指定ブランドは金純度が99.99％以上である金のインゴットを扱っている証明になります。日本の市場はもちろん、基本的に世界のどの国でもしっかりと取引ができる品質なのです。 そんな金の国際公式ブランドは、国内外でさまざまなものがあります。特にだけでも多くのブランドがあるため、下記の中から選んでみてはいかがでしょうか。 ＜国内ブランド＞

• 日鉱金属(株)
• 三菱マテリアル(株)
• 三井金属鉱業(株)
• 住友金属鉱山(株)
• DOWAメタルマイン（株）
• アサヒプリテック（株）
• 田中貴金属工業(株)
• (株)徳力本店
• 石福金属興業(株)
• 松田産業(株)
• 日鉱金属株式会社
• 日本マテリアル（株）

  ＜海外ブランド＞

• DEGUSSA　ドイツ
• RAND REFINERY　南アフリカ旧刻印
• RAND REFINERY　南アフリカ新刻印
• JOHNSON MATTHEY　カナダ
• JOHNSON MATTHEY 　HONG KONG
• PAMP　スイス
• PERH MINT 　オーストラリア
• ARGOR HERAEUS S.A. 　スイス
• ENGELHARD 　イギリス
• JOHNSON MATTHEY (AUSTRALIA) 　オーストラリア
• GOLDEN WEST REFINNING CORP オーストラリア
• DEGUSSA SINGAPORE シンガポール
• JOHNSON MATTHEY (LONDON) イギリス
• UBS AG　スイス
• SWISS BANK　スイス
• ARGOR S.A.　スイス
• Union Bank of Swizerland　スイス
• CREDIT SUISS　スイス
• HERAEUS　ドイツ

金のインゴットの購入方法とは

金のインゴットはどこで購入できるのかご存じですか？ 店頭で購入できることはもちろんですが、最近ではオンラインで気軽に購入できます。 しかし、注意したいのは顏の見えないオンラインだと、偽物を購入してしまう可能性があること。 うっかり偽物を高額で購入してしまえば、大きな損失につながってしまうのです。そこできちんと品質が認められた金のインゴットを購入するには、認定を受けているお店を選びましょう。 おすすめしたいのは「日本地金流通協会」に登録されている店舗です。 この日本地金流通協会は、金のインゴットの正しい普及と知識を広げるために作られた協会です。協会の一定基準を満たしているお店しか登録ができないため、お店選びに悩んだら登録店舗の中から近くのお店に足を運んだり、オンラインを通じて購入したりしましょう。

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